【短編】現代(白澤×鬼灯)

□鬼の血
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「はぁ・・・じゃあ、お願いします。」

鬼灯は面倒臭そうに答えた。

そう来なくっちゃ。

どうせ帰っても溜まってる仕事ないし。

鬼灯と一緒に居られるし〜

とは、決して口には出せない。

金棒の餌食になるから。

「どれから見てけばいい?」

「・・・こちら側、お願いできます?」

「はいはい。」

僕は鬼灯が指差した本の山の隣に椅子を持ってきて座る。

さーて。

怪しい本はあるのかなー?

触る前に本をじっと見る。

中途半端な呪いだとこの時点で分かる。

次に背表紙、裏表紙、表紙の順で撫でる。

ここまでして何もなければ安全だ。

鬼灯もその知識を習得しており、同じ手筈で本を確認している。

淡々と本の確認をしていく。

もう少しで終わる。

ふう、少し休憩〜

椅子に凭れ掛かり、伸びをする。

そんな僕を一瞥して、本に手を伸ばす。

・・・――――パチ――――・・・

今までしなかった音がした。

「な・・・?!」

鬼灯は慌てて手を退いた。

が、遅かった。

鬼灯が触れた本から赤黒い呪いの符が音を立てて浮き上がり、鬼灯を目掛けて飛んだ。

「鬼灯!」

鬼灯は咄嗟に金棒を振り翳し、呪符目掛けて叩き下ろした。

しかし、呪符は金棒をいとも簡単にすり抜け、鬼灯に迫った。

「あ・・・・・・」

鬼灯の瞳が絶望に見開かれた。
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