【短編】現代(白澤×鬼灯)
□鬼の血
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机には本が山積みになっていた。
「何の用です?」
鬼灯は一度だけ僕を見たが、またすぐに本へ視線を戻した。
「薬届に来たんだよ。メール見たか?」
「携帯は執務室に置いて来ました。」
「あ、そう。」
僕は薬袋を山積みになっている本の隣に置いた。
「ありがとうございます。お代は後で請求していただけませんか?」
「いいよ。ところでさ、何調べてるの?こっちの書庫を使うなんて・・・何かあったの?」
「ええ。毎月、この書庫に保管してある本の納書が更新されるのですが・・・。」
鬼灯は僕の目の前に今月分の納書を突き付けた。
「この納書に記載が無い書が紛れ込んでいるそうで・・・。呪いの類いの可能性があるので、洗い出していました。」
で、洗い出したのがこれです、机の上の本を指差した。
「こんなに?」
鬼灯は頷いた。
記載漏れなら分からなくもないが、この量は多すぎる。
故意のものに違いない。
「取り敢えず、記載されていない本はこれだけなので、後は妙な呪いが掛かっていないか調べます。」
「呪いって・・・」
「以前、一度だけ呪いの掛かった本に触れて獄卒が瀕死の怪我を負ったという事件があったので・・・。また、そのようなことがあっては困りますし・・・。」
「そう・・・」
ですから、と鬼灯は続けた。
「大王にもう少し掛かるとお伝えいただけますか?」
鬼灯はページを捲りながらそう言った。
「お前、呪いが込められてるとか分かるの?」
「すべては分かりませんが、最低でも対鬼の呪いでしたら全て分かります。」
「・・・僕も手伝うよ。」
「は?」
鬼灯は本から顔を上げた。
「万が一、呪いが込められた書に触っても多少の耐性あるし。」
僕ならどんな呪いだって見分けられる。
呪いに触れたとしても、そんなにダメージはない。
呪いは姿を現してから触れた者を縛るまで、一瞬だが隙ができる。
その隙を突いて打ち払ってしまえばいい。