【短編】現代(白澤×鬼灯)
□この神様には適わない。
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午前の業務が終わり、一息つく。
「鬼灯君、お疲れ様。今日は早く終わったね〜」
隣にいる閻魔大王が満面の笑みで言う。
「ええ、そうですね。いつもこうだと非常に有り難いのですが・・・」
「う・・・。さ、さあお昼食べに食堂行こ!」
「話を逸らすんじゃ・・・あ。」
私は懐から取り出した懐中時計を見てあることを思い出した。
「大王、今から桃源郷に行ってきますので、すみませんがお一人で行ってください。」
薬の発注をするのを忘れていた。
「え?ああ、分かったよ。気を付けてね。」
大王は手を振って送り出してくれた。
「はい、なるべく早く戻ります。」
私は薬のリストを改めて確認し、金棒を担いで閻魔殿を出た。
地獄と天国を繋いでいる暗い通路を進む。
「・・・そういえば今日は・・・」
現世で言う四月馬鹿・・・。
ふざけた嘘なら吐いても良いという可笑しな日だ。
そう言えば、出勤前に下らない嘘を言い合って笑っていた若い獄卒をあちこちで見かけた。
全く、いったい誰がそのような日を作ったのか。
暗い門を潜り抜け、天国へと足を踏み入れた。
「しかし・・・」
一切、興味が無いわけではない。
「あのアホ神獣で少し遊んでやりますか。」
飛び切りの嘘を考えてやろう・・・
自然に唇が緩い弧を描いていくのが分かった。
せいぜい私を楽しませてください。
神様・・・。