【短編】現代(白澤×鬼灯)

□甘いものと傷薬
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来た来た。

でも、おかしいな。

いつもだったら、扉をぶっ壊す勢いで入ってくるくせに。

「お邪魔します。」

恐いほど静かに入ってきた。

「え?あ、ああ・・・」

「なんです?私の顔に何かついてますか?」

鬼灯は普段の3割増しに不機嫌な声でそう言った。

こいつ、また徹夜したな・・・

「・・・お前、何日寝てないんだよ。」

目の下にくっきりと隈ができてる。

「2日ですが、別にどうってことありません。」

鬼灯は持っていた金棒をカウンターの横に立てかけて、椅子にどさりと座った。

その顔には疲労の色が滲み出ていた。

どうってことないわけないだろう・・・

疲れ切ってるじゃないか。

地獄はそんなに忙しいのだろうか・・・?

「薬、できているのなら早くください。さっさと戻って仕事したいんですよ。」

「お前、今昼休みなんじゃないのか?」

「そうですけど、仕事が溜まっているんです。」

あのアホ大王の所為で・・・と付け足してぼやいた。

「休み時間くらいちゃんと休めよ。茶出してやるから・・・」

僕はよっこいせと立ち上がった。

「結構です。お代を払ったらすぐに戻・・・」

「まあまあ、そう言わずに〜はい、この子と遊んでてよ。」

僕は側にいたうさぎを抱き上げて鬼灯に渡した。

「・・・」

鬼灯は大好きな小動物に抗えなかったのか、大人しくうさぎを受け取り、頭を撫でた。

こういう所は昔と変わってないんだよな〜

僕は小さく笑いながら、茶器を取りに台所へ向かった。
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