【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□呪いの瞳と無言の願い
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これは、私が鬼として生れ落ちてからまだ間もない頃の話。


鬼になる前は、人間として幸せとは言えない日々を送っていた。


でも、気付いたら、鬼となってこの地に足を付けていた。


そして、あの人と出会ったのだ。


あの悪夢の世界から逃げ出せた思いだった。


・・・あぁ、しまった。


また、思い出してしまった。


「・・・・・・。」






















私は生を受けて間も無く、父と母を失くした。


両親の死因は疫病だと、皆が口をそろえて言う。


・・・が、それは違った。


両親は、今まで共に暮らしていた村の仲間の手によって殺されたのだ。


その原因は、私。


私が、血のように真っ赤な瞳を持って生まれたから。


その当時、赤は災いの色だという根拠の無い風習が根付いていた。


そのせいで、両親は惨たらしい最期を迎えた。


そして、私も・・・神に呪われた子と呼ばれ、邪険に扱われてきた。


皆、私を人間として見てくれなかった。


孤独と屈辱に耐え兼ねていたその夜・・・、


『もう辰の刻を過ぎた頃だ・・・、なのに何故日が昇らないのだ・・・』


村の様子がいつもと違った。


いつもなら日の出の刻の筈なのに、未だ辺りは闇に包まれていた。


『・・・、まさか・・・』


『・・・・・・お前の仕業か?』


『両親を奪われた腹いせに、村を滅ぼそうって魂胆だろ?!』


何を言われているのか分からなかった。


夜が明けない原因が、私・・・?


村人たちの視線が私に突き刺さる。


『なにを・・・ッ?!』


頭に鋭い痛みが走った。


酷いめまいがして、そのまま地面にうずくまる。


『その穢れた目を向けるなッ!あの時・・・両親と一緒に消すべきだった・・・ッ!!』


時がいくら経っても姿を見せない太陽。


聞いたことの無い空の唸り。


この奇妙な現象の元凶が私だと思い込んでいるようだ。


そんな・・・、そんなでたらめなことがあってたまるか・・・


言葉を発したいが、唇が震えて叶わない。


『・・・・・。』


頭が不規則に脈打つのが気持ち悪かった。


このまま、死ぬんだ・・・・・・


私が消えることで皆の気が晴れるなら、もう・・・好きにすればいい。


薄れゆく景色は、どす黒く・・・赤かった。


赤・・・?


辺りに木霊する、酷い轟音・・・


きっと、嵐の前兆だったんだ。


そんなことを考えながら目を閉じた。






























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