【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□鳥籠
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格子戸から差し込む朝日を見て、夜が明けたのだと気付いた。


結局、全く眠ることが出来ず身体が重怠い。


それでも己に鞭打って、主人の元へ行ったが、
今日は何もしなくていいと言われ、先ほどからずっとこうして納屋に閉じ籠っている。


『・・・・・・。』


仕事が無いのはこうも退屈なのか。


今日のように仕事を与えられない日など無かった。


本来なら、嬉しくて仕方ない筈だが・・・、


私の気分は一向に晴れない。


・・・当たり前だ。


私の命は今日で終わるのだから。


雨乞いの生贄、か・・・


私は一体、何をする為にこの世に生を受けたのだろうか。


・・・決して、こんな無残な終わり方をする為に生まれてきた訳では無い。


握り締めた拳の上に雫が落ちる。


『・・・ッどうして・・・私が・・・』


他人からすれば、私など卑しい存在に過ぎないかもしれない。


けれど、私にとっては大事な命。


卑しい孤児でもいい。


・・・もっと、生きたかった。


父と母の愛を受けたのも生まれてからほんの数か月の間だ。


・・・もっと、愛が欲しかった。


今まで何一つ欲しがること無く生きてきた。


こんな時くらい、我が儘を言っても許されるでしょう?


けれど、どれだけ泣いて願っても・・・


ただ、死ぬのを待つだけ。


それが、卑しい私に対して神が下した運命なのだ。


・・・・・・天も惨いことをする。


『・・・・・・・・・。』


もう、あれこれ考えるのは止めにしよう。


どう抗ったって、待ち受ける死を避けることなど出来はしない。


もう・・・、いい・・・。


怠く、鈍く襲う痛みから逃げるように目を閉じる。


『・・・生、き・・・たい・・・』


諦めの気持ちとは裏腹に、本能が叫び絞り出したこの言葉は鮮明に覚えていた































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