【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□鳥籠
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季節は乾季を迎え、毎日暑い日が続いていた。


いつものように畑に向かうと、作物の葉が揃って萎れてしまっていた。


乾季に入るといつもこうだが、今年は例年より酷い気がする。


いくら丹念に世話をしても、直射日光を受けた作物たちは、たちどころに傷んでしまう。


容赦のない日差しと乾いた空気は、根をも枯らし最早打つ手は何も無かった。


類を見ない凶作に村人たちが喘ぎ始めた頃、


西の村で雨乞いをしたら翌日雨が降ったという噂が村中に蔓延していた。


日が暮れた後、村中の大人たちが集められた。


そして何故か、その中に私も居た。


『・・・・・・。』


『・・・・・・・・・。』


『・・・・・・・・・・・・。』


藁にも縋る気持ちの村人たちが下した決定は。


明日の満月の夜、この村でも雨乞いの儀式を行うというものだった。


『・・・生贄が要ると聞いているが・・・』


『なに、心配には及ばん。』


『・・・え』


私を見る村人たちの目。


・・・・・・嫌な予感しかしなかった。


『丁。』


『私たちが何を言いたいのか、分かるね?』


『・・・明日の晩、迎えに行く。・・・いいな?』


『・・・・・・。』


やっと分かった。


・・・この為に、この場へ呼ばれたのか。


こんな理不尽な死刑宣告を受けに。


こんなもの、良い見世物だ。


神様は無常な方だ。


こんなに毎日頑張ってるのに・・・


身を粉にして捧げたのに、その見返りが・・・


雨乞いの生贄。


こんなことがまかり通ってよいのか。


痩せた頬に涙が伝う。


一度流れ出した涙は止まることはない。


どうして、こんな目に遭わなければならないのか。


嗚呼、頭が痛い。


・・・何も考えられない。


『・・・私は何のために生きてきたのでしょうか・・・。』


一睡も出来ずに、最後の朝を迎えた。





























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