【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□鳥籠
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狭くて苦しい籠の中。


此処が、私の唯一の居場所。


両親を物心付く前に失くし、身内が住む村に引き取られた。


村人たちは私を汚れ物を見るかのような目で見る。


この村には、『孤児は神に見放された子』だという理不尽な教えが根付いてしまっていた。


その為、親を失くした孤児であるというだけで忌み嫌われ、目の敵にされる。


・・・いくら虫けらのような扱いをされようと、


孤独に晒されようと、


・・・・・・それでも、私は幸せだった。


この言葉は、突き付けられた無常な現実を拒むまじないのそれとなっていた。


こうでもしていないと、寂しさと屈辱で壊れてしまいそうで。


『丁!いつまで寝てるつもりだ!』


『ご・・・ごめんなさい。直ぐに起きます・・・』


家主の怒号が耳を劈く。


『丁』とは召使いの意だが、それが私の名前として成り立ってしまっている。


自分の名を呼ばれる度に、己の無様さをまざまざと見せつけられているようで、悲しくなる。


だが、泣く暇など与えられぬまま過酷な一日が始まるのだ。


まだ空が白む前に叩き起こされ、畑仕事や家畜の餌やりをさせられる。


陽が昇れば川まで赴き、昼近くまで洗濯をする。


真冬の水は氷のように冷たく、あっという間に手指が荒れてしまう。


洗濯が終わったと思ったら、今度は家の掃除。


少しでも手を抜けば、腿を叩かれるのだ。


日が暮れた後は、畑の作物を獣に荒されないように見張りに行く。


そして、日付が変わった頃に漸く寝ることを許される。


そんな毎日が延々と繰り返される。


身体は疲れ切っているのに、眠れない。


居場所として与えられた薄暗い納屋の中で膝を抱える。


『・・・・・・身体が、痛い。』


寒さを紛らわすように自分の身体を抱き締め、蹲る。


寂しい・・・


寒い・・・・・・


痛い・・・・・・・・・


まるで、


羽を失くして飛べなくなった鳥になった気分だ。


鳥籠の中で、たった独り・・・


この檻から抜け出せる日は来るのだろうか・・・?


こんな生活は嫌だ、・・・嫌な筈だが、身体が勝手に動くのだ。


私が仕事をしなければ、この村を追い出されてしまう。


行く宛ても無く彷徨った挙句、のたれ死ぬ様は目に見えている。


生きる為に本能が身体を突き動かしているのだ。


けれど、


毎日、主人の言いつけを守って働き続ければ、いつか道が開けるかもしれない。


どんなに罵られても、叩かれても。


いつか、いつかは報われる・・・と、


そう信じながら、過酷な毎日を過ごした。


しかし、私が胸の内に抱く仄かな願いは無残に打ち砕かれることとなる。


























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