【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□神様なんて、
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漢の国から薬の知識が伝えられるようになった頃。

私は名も無い村で優しい父と聡明な母と暮らしていた。

日々の生活は決して裕福とは言えないけれど。

「坊や、お金より大切なものはいくらでもある。目の前の欲に眩んで自分を見失ってはいけないよ。」

父と母をはじめ、村人達は口を揃えてそう言う。

その通りだ。

国は富が何よりも大事だというが、

富などあっても身を滅ぼすだけ。

金など無くても生きていける。

家族揃って暮らせれば、それで十分。

大好きな父と母とずっと一緒に、

金持ちになって贅沢に暮らしたいと考える者は誰一人として居なかった。

・・・そんな小さな小さな村に突如、厄災が降り注いだ。



























冷え切った夜のこと、

何が起こったのか、何が襲ったのか、私には分からなかった。

「力がある者は剣をとれ!」

「子供たちを隠せ!早く!!」

慌てふためく大人たちの声。

剣が鍔迫り合う音と炎が唸る音がやけに大きく聞こえる。

この何も無い村に賊が押し入った。

大人だろうが、子供だろうが関係無かった。

父と母も殺された。

私の目の前で。

赤い血が頬を伝う。

どうしてこんなことに・・・?

神様、私たちは何か罪を犯したのでしょうか?

死をもって償わなければならない程の・・・

あぁ、憎い。

襲ってきた賊が?

それとも、このような運命を科した神が?

分からない、けれど憎い。

この憎しみを何にぶつけようか・・・

今までに感じたことの無い怒りが込み上げる。

力無く横たわる両親。

血と炎で赤く染まった村。

目の前には不気味な笑みを浮かべながら剣を振り翳す男。

そして、

今までに味わったことの無い痛みと共に私の短い命は終わった。
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