【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□死ぬこと
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今日、生まれて初めて生き物の『死』に直面した。

大切に世話をしていたうさぎが死んでしまった。

2年ほど前に、森で迷っている所をはくたくさまと連れ帰ったのだ。

他のうさぎとは違い、目が金色がかっていて、背中に勾玉のような模様がある、特徴的なうさぎだ。

この子のおかげで、生き物を愛でることがとても素敵なことだと知った。

この子の為なら何だって出来る。

・・・そう、思っていた・・・

その小さな体を抱き上げる。

冷たくて、軽い。

昨日まで一緒に遊んでいたのに・・・

今朝、目が覚めて庭に出たらこの子が力なく横たわっているのを見つけた。

何が起こったのか理解するまでかなりの時間がかかった。

これが、死・・・?

胸が痛い。

きゅう・・・って・・・

動くことのないその子の柔らかい毛の上に雫が落ちる。

・・・眠っているだけかもしれない。

きっとそうだ・・・

きっと・・・

何故か、この子の死を認めたくなかった。

「・・・・・・」

とにかく、はくたくさまに・・・!

はくたくさまなら、何とかしてくれるかもしれない・・・

神様だもの・・・!

逸る気持ちを抑えて、うさぎを抱いたまま彼の元へ向かった。









「はくたくさま!!」

少し乱暴に台所の扉を開ける。

「丁、どうしたの?」

朝食の支度をしていたはくたくさまは、驚いた様子でこちらを見た。

しかし、その視線はすぐに私の腕の中のうさぎへと向けられた。

「・・・」

「はくたくさま、この子・・・」

きゅっと腕の中のうさぎを抱き締める。

はくたくさまは調理の手を止めて、私の前にしゃがんだ。

「丁・・・そんなに強く抱いてはいけないよ。痛いって言ってるよ・・・?」

力の籠る私の両腕に手を添えて、力を抜くよう促す。

はっとして腕の力を緩める。

「はくたくさま、この子少し調子が悪いだけですよね?ちゃんと起きますよね?」

「・・・・・・」

はくたくさまは、動かないうさぎの頭を黙って撫でている。

「ねえ、はくたくさまなら治せますよね?」

自然と早口になってしまう。

はくたくさまは何も言わない。

ただただ、愛おしげにそのうさぎを見つめている。

「はくた・・・」

もう一度縋ろうと思ったとき、はくたくさまに抱き締められた。

「丁・・・この子は、天国にお出掛けしたんだ。」

瞳が絶望に見開かれる。

そんな答え、聞きたくなかった。

僕が治してあげる、って言って欲しかった。

逃げ続けてきた現実を突き付けられ、目の前が白くなる。

嘘だと言って・・・
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