【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□失敗と褒美
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それから毎日、少しずつ丁に漢方についての知識を与えていった。

天帝からの頼まれものもこなしているので、あまり多くの時間は割けないが。

漢方の勉強を始めて、2週間。

丁は、薬の名前を何も見ずに言えるようになった。

更に、少しずつだが、それらの効能も理解し始めている。

丁は、僕と勉強している以外にも、暇な時間を見つけては辞典を引っ張り出して読みふけっている。

日頃の努力の結果だろう。

本当、この子には感心させられる。

「丁は賢いね。たった2週間でここまでできるようになるなんて。僕も見習わなきゃね。」

「いえ、そんな・・・はくたくさまの方がもっとすごいです・・・。」

褒められたことが恥ずかしかったのか、声がだんだん小さくなっていく。

「ふふっ。さあ、そろそろ休憩にしよう。お茶を淹れてあげるね。」

ふと、立ち上がった瞬間、軽い立ち眩みがした。

思わず机に手をつく。

「はくたくさま?どうされましたか?」

丁が慌てた様子で駆け寄ってくる。

少し、疲れているのかもしれない。

天界からの業務が増えて来て、最近では日を跨がないと処理しきれない案件もある。

おまけにこの暑さだ。

気付かないうちに疲労が溜まって来ていたのだろう。

「ちょっと眩暈がしてね。疲れちゃったのかな?でも、大丈夫。すぐに良くなるよ。」

「いけません!ちゃんと休まなくては・・・」

丁が僕の着物の裾を引っ張り、どこかに連れて行こうとする。

「丁?どこへ行くの?」

「寝室です。たくさん寝て、疲れを取らなければ・・・」

僕に心配そうな瞳を向ける丁。

「丁・・・ごめんね。じゃあ、少しだけ寝るよ。」

正直、眩暈がなかなか治まらない。

少し寝たら、薬を煎じよう。

寝室に着いた後、丁に言われるがまま布団に入る。

「はくたくさま、ゆっくりお休みください。」

「ありがとう。遊んであげられなくてごめんね。」

「いいえ、丁のことは気になさらないでください。」

「ふふふっ、ありがとう。」

「それでは・・・。」

丁はゆっくり扉を閉めた。

「・・・。」

ああ、なんと情けないことか・・・

ぎりぎりにまるまで疲労に気付かないとは。

回復したら、めいっぱい丁と遊ぼう。

・・・ああ、頭がくらくらする。

今は眠ろう。

目を閉じてから眠りに落ちるまで、そう時間は掛からなかった。
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