【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□あの子の癖
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丁は珍しく、夕餉を残した。

あまり腹が減っていないとのこと。

丁は絵巻物の続きを見るといって、そのまま隣の部屋に行ってしまった。

洗い物をしてから様子を見に行こう。



洗い物の後、丁のために仙桃を剥いてやった。

あんな少しの量で腹が満たされるわけがない。

甘いものなら受け付けてくれるかもしれない。

仙桃を持って隣の部屋に向かった。

「丁〜?」

扉を開けると丁はまたも指先をいじっていた。

「あ・・・」

丁は僕に気付くとぱっと手を放した。

やっぱり、この子は何かを隠してる。

「手が痛いのだろう?診てあげるから手をだしなさい。」

とりあえず、盆を机に置いて丁の前に座った。

「いえ、あの・・・本当に何ともないのです・・・」

「丁」

僅かだが、彼の目が泳いだのを見逃さなかった。

「あ・・・あの・・・」

「前に僕と隠し事はしないって約束したよね?」

僕は丁の目を見て言うと、瞳を揺らして俯いてしまった。

「ご、ごめんなさい・・・手・・・手は痛くないのです・・・」

「手・・・『は』・・・?」

丁の言い方からすると、手以外で痛む箇所があるらしい。

「どこが痛いんだい?」

「・・・おなかが・・・痛いです・・・」

丁はそう言うと、胃のあたりを手で押さえた。
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