【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)
□あの子の癖
2ページ/5ページ
丁は珍しく、夕餉を残した。
あまり腹が減っていないとのこと。
丁は絵巻物の続きを見るといって、そのまま隣の部屋に行ってしまった。
洗い物をしてから様子を見に行こう。
洗い物の後、丁のために仙桃を剥いてやった。
あんな少しの量で腹が満たされるわけがない。
甘いものなら受け付けてくれるかもしれない。
仙桃を持って隣の部屋に向かった。
「丁〜?」
扉を開けると丁はまたも指先をいじっていた。
「あ・・・」
丁は僕に気付くとぱっと手を放した。
やっぱり、この子は何かを隠してる。
「手が痛いのだろう?診てあげるから手をだしなさい。」
とりあえず、盆を机に置いて丁の前に座った。
「いえ、あの・・・本当に何ともないのです・・・」
「丁」
僅かだが、彼の目が泳いだのを見逃さなかった。
「あ・・・あの・・・」
「前に僕と隠し事はしないって約束したよね?」
僕は丁の目を見て言うと、瞳を揺らして俯いてしまった。
「ご、ごめんなさい・・・手・・・手は痛くないのです・・・」
「手・・・『は』・・・?」
丁の言い方からすると、手以外で痛む箇所があるらしい。
「どこが痛いんだい?」
「・・・おなかが・・・痛いです・・・」
丁はそう言うと、胃のあたりを手で押さえた。