【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□あの子の癖
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「丁、おいで。夕餉だよ。」

僕は隣の部屋で絵巻物を見ている丁に声を掛けた。

丁は自分の指先を眺め、時折爪を擦っていた。

指が痛いのかな?

「丁、どうしたの?手が痛いの?」

様子を見ようと彼に近寄る。

「あ、何でもありません。」

「そう?」

何だか顔色が悪い気がするが、気のせいだろうか。

「はい。夕餉、ですよね?お手伝いします。」

丁は笑顔で僕に言った。

「ありがとう。じゃあ、台所行こうか。」

どうやら、考えすぎだったようだ。




桃源郷は一年中気候が良いとは言え、夜になるとかなり冷え込む。

冷える日には温かいのもに限る。

と言うわけで、今日の夕餉は今朝取った山菜を使った鍋。

「はい、どうぞ。たくさん食べてね。」

「ありがとうございます。いただきます。」

丁はお椀を受け取ると、丁寧に手を合わせて「いただきます。」と言ってから匙で食べ始めた。

本当に行儀のいい子だ。

僕も丁に倣って「いただきます。」をしてから箸をつけた。

「おいしい?」

「はい、とてもおいしいです。」

丁はおいしいと言っているが、いつもより食べるのが遅い気がする。

「・・・・・・。」

「はくたくさま・・・?」

丁は匙を持ったまま、不思議そうな顔でこちらを見ていた。

「どうされたのですか?」

「え?ううん。何でもないよ。気に入ってもらえて良かった。」

キノコを箸で摘みあげ、口へ放り込む。

やはり、丁の様子が変だ。

顔色もいつもより若干だが良くない。

気のせいだと思っていたが、違うようだ。

それに、さっきの指の動き・・・

・・・もう少し様子を見てみるか。
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