【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□はくたくさまのおでこ
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はくたくさまは前髪を掻き上げ、額を露わにした。

「あ・・・」

「まずここに一つ・・・ね」

額の中心には紅い紋章のようなものが刻まれていた。

わたしは思わず椅子の上に立って、身を乗り出した。

よく見ると、確かに目のように見える。

「これ・・・見えているのですか?」

「ううん。実際、映像として見るのに使っているのはこの二つの目だけだよ。」

「ではこの目は何に使うのですか?」

「色々な世界をこの目で見ることができるんだよ。僕は森羅万象を視る神獣だからね。禁忌だけど、相手の心を見透かすこともできるよ・・・
っと、丁にはまだ難しい話だったね。ごめんね」

「・・・」

「他にも体に残りの六つの目が額と同じようにあるんだ。今は人の姿だから模様みたいになってるけど、本来の姿に戻れば、
本物の目に変わるんだ」

「・・・・・・」

やはりこの方は神様なのだと改めて思った。

人の心にも入り込めるなんて、ほんの少しだが、恐ろしさを感じる。

「丁?」

わたしは、はくたくさまの額に手を伸ばし、その紅い模様を指でそっとなぞった。

「ちょ・・・丁・・・!あははは、くすぐったいよ〜」

はくたくさまは声を上げて笑った。

「あ、ごめんなさい・・・!」

わたしはすぐに手を引っ込めた。

「いや、いいよ。模様と言えど、ちゃんと神経が通っているから触られるとこそばゆいんだ。」

「そうなのですか・・・。あ、教えてくださってありがとうございました。」

わたしはぺこりと頭を下げた。

「まさか、僕のことを聞かれるとは思わなかったな。嬉しいよ。こちらこそありがとうね。」

「そんな・・・」

わたしは何だか恥ずかしくなり、おはじきを意味もなくいじった。

「ふふふっ」

はくたくさまがまた小さく笑った。

わたしも釣られて頬を綻ばせて笑った。

なんて穏やかな時間なのだろうか・・・

こんな時間がずっと続いてほしい・・・




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