【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)

□甘えを知らない子
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しばらく、丁の顔を眺めていた。

「ぅ・・・んん・・・」

彼の瞼が微かに震え、ゆっくり開けられた。

お目覚めだね。

「よく寝たね。お腹空いてない?」

「あ・・・・・・」

丁はゆっくりと起きあがった。

起き抜けの丁は状況がまだ理解出来ていないらしく、口を開けたまま固まってしまっている。

「丁?」

僕は丁の顔を覗き込んだ。

「ここは・・・どこですか・・・?」

丁は見たことない場所に不安そうな表情で訊いてきた。

「僕の家だよ。お前が居た村からはかなり離れているから安心しなさい。」

「はい、あの・・・ありがとうございます・・」

意識が覚醒してきて、さっきまでの出来事を思い出したようで、丁は俯いてしまった。

「ねえ、丁。僕、昼餉作ったんだ。一緒に食べよう」

「え・・・あの・・・」

「温めてくるから、ゆっくりおいで。」

僕は丁を残して先に台所へ向かった。




「・・・・・・」

起きてすぐに気付いた。

昨日、殴られた傷が消えている・・・全部。

あの方が・・・?

いや、まさか・・・でも・・・

あの方は何者なのだろうか・・・

綺麗な漢服を着ていらっしゃった・・・

宮殿の方だろうか?

でも、宮殿の方が何故このような所に家を・・・?

あれこれ考えていると、眩暈がしてきた。

兎に角、あの方にお礼を言わなくては・・・!

わたしは、着物の着崩れを直し、台所へ向かった。
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