【短編】現代(白澤×鬼灯)

□こんな日も・・・
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午前中の業務が終わり、休憩時間。

シロさんが昼食に誘ってくれたので、一緒に食堂へ向かった。

食堂に着いて早々テレビの前の席に座り、はあ、とため息を吐いた。

「鬼灯様、どうしたの?なんか顔色悪いよ?」

シロさんが心配そうに私の顔を覗き込む。

「・・・今朝から腹の調子が悪くて・・・」

今日は腹の痛みで目が覚めた。

吐き気があり、朝食は食べられなかった。

昼食の時間になっても、全く腹が減らない。

「大丈夫?あっちにお粥あったから俺、買ってくるよ。」

「いいえ、自分で行けます。すみませんね。」

ふらふらと立ち上がって配膳台に向かう。

粥を通常の半量だけ買って席に戻る。

既にシロさんはかつ丼を美味しそうに頬張っていた。

「見事な食べっぷりですね。」

「えへへ。いつも全力で折檻してるからすぐお腹空いちゃうんだ〜」

「そうですか。いつもご苦労様です。」

粥には一切手を付けずにシロさんの様子を見ていた。

胃が食べ物を受け付けようとしない。

「鬼灯様・・・本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ・・・」

「でも、ご飯・・・お腹痛くて食べれませんか?」

「・・・ええ、少し辛いです。」

私は金棒を持って席を立った。

「今日は、半休で上がらせてもらいます・・・。悪いですが、大王が戻ったらお伝えいただけますか?」

大王は今朝から十王の会合で席を外していた。

「うん、いいよ。お大事にね・・・」

「ありがとうございます。ああ、良かったらその粥、召し上がって下さい。」

「鬼灯様・・・」

シロさんをその場に残し、食堂を後にした。

申し訳ないことをしたな・・・

体調が戻ったら何かお詫びをしなくては・・・

そんなことを考えながらふと、思い出した。

ああ。奴に頼んでいた薬、今日が期限だったか。

携帯を取り出し、できているか確認のメールを打って飛ばした。

すぐに返事が来た。

「是」のみ書かれていた。

早いところ取りに行かないと五月蝿いだろうから、これから行くか。

腹をさすりながら重い足取りで桃源郷に向かった。
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