【短編】神代・黄泉(白×丁・白×子鬼灯)
□あの子の癖
5ページ/5ページ
小さなお椀に生姜湯と仙桃の蜜煮をよそって、丁のもとへ持っていく。
「お待たせ、お薬だよ。」
「ありがとう・・・ございます・・・」
「苦しいね・・・ちょっと待ってね。」
僕は丁の向かいに座った。
生姜湯を匙で少量掬い、数回息を吹きかけて冷ましてから丁の口元に近づけた。
「さ、口を開けて?」
小さく開かれた口に生姜湯をゆっくりと流し込んでやる。
「これが薬・・・ですか?」
丁は不思議そうにお椀の中身を見た。
「そう、生姜はお腹を温めてくれるし、大根と桃は消化に良いんだよ。」
今度は小さく切った蜜煮を楊枝に挿して丁の口元に持っていく。
丁はそれをぱくんとくわえた。
「これ食べて、暖かくして寝れば明日には良くなるよ。」
僕は丁の頭を撫でた。
「はい・・・あの、ありがとうございます・・・」
「どういたしまして。はい、もう一口食べれる?」
丁はこくんと頷いた。
ゆっくり、ゆっくり時間をかけて生姜湯と蜜煮を食べさせた。
やがて両方のお椀が空になった。
「よく食べれたね。すぐに風呂に入って寝よう。」
「はい・・・」
丁を抱き上げて今度は風呂場に向かった。
風呂でよく温まったら、丁が眠るまで抱きしめていてあげよう。
早く丁が痛みから、苦しみから解放されることを願って・・・。
終