短編
□苦手なモノ
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なんで…
リオン「おいグレイ、なんだその格好は。ハッ、驚かしているつもりか」
グレイ「ア"ァッ!?ちげーよ、エルザに着せられたんだ」
……………なんで……
エルザ「ふ、グレイのは"キョンシー"と言う妖の衣装だ。なかなか良いだろう」
ルーシィ「エルザのは"メデゥーサ"の格好よね。さすが、良く似合う!」
ラン「…」
ウェンディ「…ランさん?どうかしたんですか?」
ラン「い、いや、何でもないっす」
なんでこうなったんだよ!!
ランside
それは、天気のいい日のことである。突然の誘いだった。
シェリア「お化け屋敷??」
エルザ「あぁ。実はな、町長からの依頼で今度イベントがあるんだが、私達に何か出し物をしてほしいと言われたんだ。そこで、人数を分けて、屋台とお化け屋敷にしたんだ」
リオン「それを何故俺達に?」
ルーシィ「どれくらいの完成度になったか見てほしいの。私達じゃ、どこに何があるかある程度の仕掛けが分かってるからね」
シェリア「分かった!じゃあ、リオンとランも連れて行くよ!ね、ラン!」
俺を差し置いていつの間にか話が進んでいた。
ラン「え、つまり、そのお化け屋敷に入るってことだよな?」
エルザ「そうだ。…何か都合が悪いか?」
ラン「わ、悪くないよ?全然大丈夫だ。い、行くよ。うん」
そう、俺ラン・ファイリールは
…お化けとか幽霊の類が苦手だ。
もちろんそれを知っている奴は数少ない。
…知っているうちの一人は
アイナ「…大丈夫?」
昔からの友人であり家族のような存在、アイナだ。
アイナは他の奴らに悟られないようにこっそり聞いてくる。
ラン「な、何がだ?」
アイナ「ラン、昔から苦手じゃないか。お化けとか」
ラン「ま、まぁな。…でも作り物だし、お前らが脅かすんだろ?なら大丈夫だよ。それにさ、せっかくお前らが作ったわけだし、見に行かないわけにはいかねぇよ」
アイナ「…ランがいいなら」
そういうとアイナはフェアリーテイルの奴らと共に帰って行った。
リオン「アイナと何を話していたんだ?」
ラン「あ?…あー、最近の様子とかだよ。ほら、久々に会ったからな。つい喋りこんじまって」
リオン「…ならいいが」
リオンは俺の目をじっと見つめるがすぐにふいっとそらした。…バレてねぇよな?
シェリア「ねぇねぇラン!イベント、楽しみだね」
ラン「そうだな。祭りの屋台とか俺初めてだわ」
シェリア「え、そうなの?」
ラン「あぁ。…まぁ、なるべく人を避けて生きてきたから、俺達」
シェリア「あ…ごめん…」
ラン「謝ることねぇよ。…むしろ初めてだから、すっげぇ楽しみなんだよ!」
シェリア「ほんと?」
ラン「あぁ!何食べようかな…!祭りって、色んなもの置いてあるんだろ?」
シェリア「いっぱいあるよ!それにすごい賑わってるの!美味しいものもたくさんだし!」
ラン「行く!絶対行く!美味いもんあるといいなー」
リオン「お前は、食い物に食いつくのか。…太るぞ」
ラン「う、うるせーよ!いいだろ、楽しみなんだし。俺食べた分ちゃんと運動するし!」
リオン「…ふ、冗談だ」
リオンが笑った。
…お前と色々見て回りてぇな、なんて。
………口が滑っても言わねぇ。
この時、俺はお祭りに浮かれてすっかり忘れていた。
…例のあれのことを。