桜咲く頃月照らす
□事件の前ぶれと運
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千鶴side
ここに来て半月は経ったのか。
父様探しは進まないまま時だけが進んでいく。
雪「…はぁ、一体いつになったら父様探しが出来るんだろ…。もしかしたら私、このまま一生幽閉されるんじゃ…」
沖「それは君の心掛け次第じゃないかな」
雪「お、沖田さん!?いつからそこに!?」
沖「あれ?もしかして気が付かなかった?この時間帯は僕が君の監視役なんだけど」
雪「も、もしかして今の話全部…」
聞いてたか、と聞こうとしても沖田さんは笑うだけ。
…聞かれてた。
斉「…食事の支度が出来てるのだが」
私の食事を持って私の右側にいる斉藤さん、左には沖田さん
どうやら斉藤さんにも聞かれていたみたい。
…はぁ、私ってば、変な独り言女に決定だ。
?「一君、食事の支度もう終わってるんだけど」
斉藤さんの方から聞こえた声、そこには藤堂さんが。
食事がどうとか話しててだったら私も、と言う事で私も新選組幹部の皆様の食事にお邪魔することに。
土方さんと山南さんは大坂出張で出かけていていないから、と。
雪「あの、でしたら悠里さんも…」
藤「あー、そうだな。あいつも部屋にいることだろうし、これ運んだら呼んでくるよ」
そう言って藤堂さんと私は広間へ向かった。
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永「おい遅ぇぞお前ら。この俺の腹の高鳴り、どうしてくれるんだ?」
障子を開けるとほとんどの隊士さんたちが集まっていて食にまだ手をつけていない様子だった。
藤堂さんが私の食事を置いて私はお礼を言うと
藤「あのさ、その藤堂さんってやめてくれない?皆、名前呼んでるし。平助でいいよ」
雪「それじゃあ、平助君で…」
藤「それでいいよ。じゃ、俺は黄桜を呼んでく…「その必要はないみたいだ」…は?」
突然斉藤さんが口を挟む。斉藤さんの視線の先を見ると…
黄「だからオレは部屋で食うっつってんだろ!!」
沖「せっかくうるさい人がいないんだからいいじゃん。大人しくしてよね。君、僕の組の隊士でしょ?言うことは聞くべきだし、それにいい加減諦めなよ。もうすぐで着くんだから」
黄「お前の言うことなんて聞きたくねぇよ!!」
沖「皆、おまたせー」
黄「話を聞け!!」
沖田さんが悠里さんの襟を掴んで部屋に来た。
原「…総司、嫌がってるんだ。離してやれよ」
沖「だってこの子暴れるんだもん」
黄「てめぇが離さねぇからだろ!?」
永「どうでもいいから食わせろ!」
そんなこんなで「いただきます」をして薄暗いロウソクの光の中で食事をしていた。
悠里さんは私の隣で無言で食べていた。