桜咲く頃月照らす

□ぶつかる真剣
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黄「…はぁ」


沖「あれー?黄桜君、どうしたの?ため息なんかついて。幸せ逃げていくよ?」


黄「…とっくに逃げてるっての」


…できることなら小太刀を抜くのは千鶴を守る時だけにしたい。


藤「おいおい、そんな調子で大丈夫なのかよ?今日はお前がどこに所属するか決めるんだろ?」


黄「だから俺は一番下でいいって…」


沖「何言ってるの?ダメだって」


正直めんどくさい。


沖「でも手合わせしないと、彼女殺しちゃうよ?」


黄「…」


沖田は千鶴を見てそう言った。…こいつ、完全に気がついている。


俺が探していた娘が、千鶴だってことを。


…じゃあ、なんで言わなかった?


めんどくさいから?それとも何か別の理由がある?


黄「…はぁ」


沖「…そんなに僕との手合わせ嫌?」


黄「うん」


原「即答かよ…新八、俺いい予感しねぇんだけど」


永「まぁまぁ、面白そうじゃねぇか」


雪「…悠里さん…」


昨日の集まっていた隊士達、そして千鶴は庭に集まっていた。


この視線の中で手合わせ…


黄「…ねぇ、俺が勝ったらどうなるの?」


沖「んー…そうだなぁ。…土方さん、どうします?」


土「どうだっていいだろ。お前の小姓にでもしとけ」


沖「じゃあ、僕が勝ったら君は僕の一番組に入る。君が勝ったら千鶴ちゃんの側にいていいよ」


黄「…乗った」


沖「決まりだね。…じゃ、始めようか」


沖田は腰に下げていた刀を抜く。晴天の下で輝く刀は目に焼き付かせる。


俺は両腰に下げた小太刀を2本抜いて構える。


斉「…二刀流か。小太刀でそれとは侮れない」


山「たしかに。…長さの短い刀、小太刀とは言え、その長さは人の腕の長さと似ている。それを二刀流で構えるなど余程の訓練が必要となります」


土「…両者前へ」


土方さんの掛け声で俺は1歩前へ出る。沖田はあのムカつくニコニコ笑顔でただ立ち尽くす。


沖「…君から来なよ?」


黄「…舐めてんのか」


沖「んー?」


黄「…チッ。馬鹿にしやがって…。遠慮なく行かせてもらう」



俺は構え、そして沖田の元へと向かう。



…どちらかが刀を離すまで



千鶴を守るために俺は…



…勝ってやる
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