桜咲く頃月照らす

□出会い
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数年前




「…!!君!大丈夫かいっ!?」


「うっ…うぅ…っ」


「怪我している…出血の量も尋常じゃない…すぐに手当を…」


「…っ、あか、り…っ」


「…君?おい!しっかり!…待っていてくれ、今手当するよ」














「……ん、ここ、は…?」



「目が覚めたかい?怪我の具合は良くなっているね。もう大丈夫だ」


「…あの、あなたが…?」


「倒れていたから驚いたよ。間に合ってよかった」


「ありがとう、ございました…」


「…君、家は?」


「…ない」


「そうか…どうしたものか…」


「…私は武者修行の身です」


「その歳でかい?大変だったんじゃ…」


「…そろそろ私は行く。…あなたに一つ、お礼がしたいが…金がない…」


「お礼なんていらない。私は医者として事を遂げたまでさ」


「…じゃあ、私が大きくなったらあなたを守る盾になる」


「さすがにそれもな…そうだ、ならば私の娘を守っていてほしい」


「娘?」


「あぁ。私の一人娘なんだ。君が大きくなってもし、私に何かあったら、私の代わりにあの子を守ってほしい」


「…分かった」
















「…まさかはるばる京に来るとは思わなかった」


「お久しぶりです。お噂を聞いて、ここに来ました」


「そうか…約束を守って…」


「…その時って、いつですか」


「今は娘に文を送っている。…しかし、いづれは送れなくなるかもしれない。…あの子のところへ行ってくれ」


「…承知。約束を果たさせてもらいます」



















「…!?いない…!?なんで!?……まさか、父を探しに…?ならば、行き先は………京か!?」













俺は走った



ひたすらに















…まさか京に来てこうなるとは思わなかった
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