ハルチカシリーズ

□序奏
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小学生の時、親同士が同類の彼と一緒に

吹いたアンサンブル。アドリブだらけだが、

お互いの技術で競って寄り添うように

奏でたその時から、私の中での音楽は

形づいていたのかもしれない。



幼い時から、私は有名バイオリニストである

伯母を私は、尊敬してた。凛とした姿勢と

自分の野心の為に自身を犠牲に出来る行動力

周りとの連携を惜しまない努力は、

バイオリニストの王者と呼ばれるに

相応しいと思った。

だから、本命はジュニアオーケストラの

フルート奏者でも、私は、バイオリンを

弾き続けてきた。伯母の状態に少しでも、

近付きたかったから。



しかし、中学3年卒業時、私は伯母に

裏切られた。中学卒業と高校入学祝として

一挺のバイオリンを贈られ、そこに

同封された手紙によって。何度も

読み返して、現実を見る度に、怒りで

我が身が震えていた。


自分は、伯母の私利私欲の為に、

バイオリンを続けてきた訳じゃない。


そう啖呵を切って弓を置いた。そして

もともと本命であり、本気でプロを

目指していたフルートに専念した。



高校に入学してからジュニアオーケストラを

卒業していた事もあって、吹奏楽部に

入った。弱小でとんでもないモノを

目撃してしまったが、遣り甲斐があって

面白い。私は、結構それにのめり込んで

いる。



たった1つ、吹奏楽部に入ってからの

変化といえば、何故か自分の吹くフルートの

音色が重くなった事だった。その理由には

心当たりはある。だがそれを認めたくない、

私は今日も、頭の隅で変化を抱えたまま

奇妙な仲間と一緒に行動している。
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