3Pのお部屋
□一夜は夢(銀+沖×土)
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真選組屯所。
副長の自室、そこに土方はいた。
山のような書類と向き合い、いつものように紫煙をくゆらせている。
ピリリリリリ、と乾いた着信音が鳴る。
携帯の着信相手は、万事屋、となっていた。
土方は通話のボタンを押す。
「…土方だ」
「…おー、土方君?俺だけどさァ」
土方は吸っている煙草をふかした。
「…何の用だ」
「…ナニその態度。随分つめてーじゃん」
あの時は、かわいかったのにさ、と電話の向こうから声がする。
「…おい、からかってるだけならー」
切るぞ、と言おうとして、自分の声と重なり銀時の声がした。
「今さー、沖田君と飲んでるんだよね。今日は沖田君…すげーピッチで飲んで、潰れちゃったんだよ」
「…総悟が?」
沖田は酒が強い。
潰れたところなんて、土方は見たこともなかった。
土方は嫌な予感がした。
「総悟は酒つえーぞ」
「…それがさあ、何か悩み事があるって言われて…随分悩んでたみたいだけど」
土方は、ふと、天人の船、琥珀での出来事を思い出す。
あの時も総悟は、えらく思いつめた様子だった。本当に潰れているのかもしれない、土方はそう思い始めていた。
「迎えに来てくんねーかな土方君」
銀時の低い声が、土方の耳に響く。
思えば、この前のあの事件以来、会っていなかった。
「…場所はどこだ」
「…お、来てくれる?悪ィーねえ。いつも真選組が使ってる高そうな店にいるよ」
ちっ、と舌打ちして、土方は言う。
「わーかったよ。待ってろ」
土方の押し付けた煙草が、灰皿の上で煙を上げていた。