銀土(原作設定)

□相思相愛
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そのまままた、朝まで抱き合い、2人でーまどろむ。



銀時が掃除機の音で目を覚ますと土方は居らず、代わりに新八が掃除をしていた。

「銀さん、おそようございます」

新八が溜息をつきながら言う。
銀時は周囲を見回した。ソファーで寝てしまっていたようだ。
ふと、昨夜の痴態を思い出し慌てて布団へ行く。
するとそこは綺麗に片付いており、土方がいたことなど跡形もなくなっていた。

後ろから新八の声がする。

「ーどうしたんですか?まだ寝ぼけてるんです?今日はほら、お爺さんの生き別れの妹さんを探す日でしたよね?」

「えっ、ああーそうだっけ…かな」

「もう、しっかりしてくださいよ〜」

新八はいつもの呆れ顔で言う。まあ、いつもの万事屋の日常である。
土方は、仕事に行ったのだ。そう思う。思う、というか、それが当たり前ー自分と土方のことなど、誰も知らない。まさか、年中いがみ合っている二人が、こんなことになっているなんて、新八さえも知らないのだ。

二人だけの秘密ー秘密、でもないかーそう思い直して銀時は歯を磨く。アクアフレッシュが垂れて、洗面台に三色がへばりついた。

「…もし」

もし、と銀時は思う。
もし明日から、土方がうちに来なくなったらー?
居酒屋で鉢合わせては喧嘩をし、そのままなだれ込むようにホテルでセックスをーしなくなったら?

「…在り得るな」

そう。何時でも在り得ることなのだ。
たまたま、土方が自分に合わせていただけかもしれない。たまたま、自分が土方のストレスのはけ口になっていただけかもしれない。
勘違い、かもしれなかった。

だって何も約束もしていない。何となく抱き合って、なんとなくーキスをして、咥えてー
女にするのとはわけが違う、性欲だけでなくその他の寂しさー何かーを、埋める為にお互い抱き合っていただけ、のような気さえしてくる。

うがいをすると、洗面に少量の血液が吐き出される。

「いってえ」

歯茎を思いっきり擦って、血が出てしまったようだ。血の味が口腔内に拡がった。

そう言えば、アイツと最初に抱き合った日も血の味がした。そんなことを思い出す。

そう、あれはいつの事だったかー
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