銀土(原作設定)
□永遠ブルー
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「ほら」
そう言うと銀髪は土方に手紙を寄越す。
それはいたるところに折り目があって、おそらく折り紙になっていたのだろう、それを見て土方は何だコレ、と言った。
「知らねーよ。その辺に落ちてたから拾っただけだ。まァ、ゆっくり休めば。いつも忙しいんだろ。鬼の副長サン」
銀時はそう言って、土方の顔を見もせず去っていく。この男は全く行動が読めない。一体何を基準に動いているのかも、土方には読めなかった。
「オイ、お前ー」
引き留めようと土方が呼び止めるが、時すでに遅し。
銀髪の姿は無くなっていた。
土方は手紙を開く。
そこには鉄之助の字が見える。
「あいつ…バカヤローが…」
その言葉は誰に言ったものか分からない。
でも、土方の顔は、優しく笑っていた。
今は会えない自分の兄。
優しく抱いて貰った幼い日の思い出。
成長してから全く話さなくなった二人だったが、心の奥で繋がっていた。
銀髪の後姿を、何故か兄と重ねて土方はくくく、と笑った。
「銀ちゃん仕事ないアルか」
「…」
万事屋のソファーでジャンプを読みながら寝そべる銀時に神楽が尋ねる。
その形相は全くと言っていい程鬼のようで、銀時は嫌な予感がする。
「お前仕事して来いよ、ワタシの給料が無いだろーがー!!」
「…そんなこと言ったってね神楽。仕事ないですか〜って言って見つかる仕事なんて、もうほんと底辺なんだよ。運び屋か臓器売るかってとこだよ。そんな仕事ありついたってねェ…」
神楽は銀時の胸倉を掴んで言う。
「何甘いこと言ってるアルか…男なら稼ぐアル!!」
「ちょ、ちょっと、神楽ちゃん…」
情けなく呟く銀時を、神楽は馬鹿力で玄関に出す。
「金持ってこないと開けないアル」
ぴしゃん、と玄関を閉められ、銀時は情けなく呟く。
その声も無視され、銀時は仕方なくかぶき町の街に繰り出した。
「くそー、アイツ夜兎じゃなかったら今頃…」
ぶつぶつと何やら恨み言を言いながら、銀時はジャンプを手にしているのに気づく。
「何だよコレ…持ってきちまったじゃねーか」
外に出たからと言って、何もすることが無い。
パチンコに行きたかったが、残金は千円しかない。これで一発当てろ、というのも酷なものだ。
「なんかいい仕事ないかねェ…っていうか、俺佐々木から報酬貰って無くねェか?…あ、でもこうなっちゃもう貰えねェかもな…くそー…」
はあ、とため息を吐いて銀時は頭を掻いた。
「見回り組がダメなら…真選組か…」
そう言うと銀時は真選組屯所に向かった。