銀土(原作設定)
□花見だからってはしゃぐと人生迷う
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山崎が戻るとそこには誰もいない。
後から追いかけて来た新八も、息を切らしながら一緒に確認する。
「なんだ…まだ来てなかったんですね」
「なら良かった。新八君、今日こそ穏便に花見をしよう、じゃないとあの人たち…」
新八はその意見に激しく同意する。
「そうですね、その通りですよ…あの人たち前回もえらいことになっちゃってるからね…ホントに懲りないですよ…」
「局長たちはこっちの離れの席に、新八君たちの近くは他の隊士にしよう」
「それがいいですね!あんな喧嘩は僕嫌です」
二人とも意見が一致したので、お互いの席に戻る。そして別れると、仲間たちを待った。
「あれ〜、副長さんじゃない」
土方十四郎は声を掛けられ振り向いた。
花見会場へ向かう途中の、桜並木。
咥えたばこをしている土方に声を掛ける銀時が、いた。
「何だ…またテメーか」
ぶっきらぼうに返事をする土方に銀時は苛つきながら挑発する。
「まーたお前らと花見同じ?ゴリラの奴ストーカー通り越して犯罪者だな。ま、ゴリラ同士お似合いだけど」
「近藤さんは一途に想ってるだけだ。そっとしといてやってくれ」
「土方ってホント身内に甘いよね。ゴリラなんかがお前の上司、ってお前も苦労するな」
はは、と笑って言う銀時に土方は凄む。
「どういう意味だ」
どうやら空気が悪い。それを知ってか知らずか、銀時は更に挑発した。
「別に?言葉どうりの意味だよ」
「テメー…」
土方は銀時の胸倉をつかむ。
咥えたばこが、すんでのところで銀時の鼻を掠めた。
「警察のくせに、柄悪ィなァ…」
じろりと睨む銀時も、負けてはいなかった。
桜の花びらが、二人の間にはらり、落ちてゆく。
「土方さーん、何して…あ、旦那ァ。またやってるんですかィ。二人共喧嘩好きなんですねェ」
後ろから沖田の声がする。
「銀ちゃん、何して…あ」
同じく後ろから聞こえて来た神楽の声に、銀時は振り向く。
「ん?いやあ…どうもコイツ、銀サンの事大好きみたいでさァ。俺の顔見ると必ず突っかかってくんだよ」
それに土方は目を吊り上げる。
「ああ、旦那…土方さんは旦那の事すげー好きみたいですぜィ。屯所でも毎日、万事屋、万事屋って切ない声が聞こえてきまさァ」
真っ青な顔で土方が突っ込む。
「はァ⁉総悟テメー何ありもしねェ事言ってやがるっ」
「銀ちゃんはニコチン野郎の事なんて好きじゃないアル。銀ちゃんが好きなのは美乳で控えめな黒髪が好きアル」
銀時は神楽の助け舟に緩んだ土方の手を払って逃げ出した。
「何で知ってんの…神楽」
「だって銀ちゃんの持ってるビデオ…もがっ」
「コラー!!それ以上は言っちゃだめだから!」
沖田がそれに対して突っ込みを入れる。
「そりゃあ、誰だっておしとやかな女が好きだろう、女をいいように操ってみたいってのはロマンですぜィ」