銀土(原作設定)
□うらはら(とうね様リク作品)
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火照る身体で、自身の上に乗る女を見つめる。
その唇は半開きで、傍目にも欲情しているのが分かった。
グイ、と腰を引き寄せる。
さら、と長い栗色の髪が揺れる。
そう言えば、沖田が同じような髪の色をしていた、俺はぼんやりそう思う。
そして、隣で煙をくゆらせる黒髪…
「ねえ、早く…」
催促の言葉を受け、俺は、はむ、と唇を噛む。
すると女は途端に甘く吐息を吐いてきた。
その息を飲みこむように俺は口づける。
そう、自分の心を押し込むように。
「…はあっ…」
徐々に表情が変わっていく。
それを見て俺は満足する。
衣擦れの音を聴きながら、俺は白い肢体に没頭していった。
〜*〜*〜*〜*
いつか、別れなければいけないだろうと思っていた。
その思いは俺の中で日ごとに大きくなっていたが、何故か自らは言えないでいたんだ。
アイツがそれを口にしたときー
不覚にも、笑みが漏れてしまった。
同じことを考えていたんだ、と少しバツが悪かったのもある。
でも、この終わらない無限ループから解放されると思うと、少し気持ちは楽かもしれない。そんなふうに思っていた。
何となく、日々がぼんやりしてるように感じるのは、アイツの所為なのか、と思う。
別に元の自分に戻っただけだ。
なのに、何かが足りないような、そんな感覚…
「…副長、副長!」
山崎の声でふと我に返る。
ああ、と返事をすると、山崎はすかさず言った。
「副長どうしたんですか、お疲れなんです?何度呼んでも返事がないので…考え事ですか?」
いや、そう短く返して、俺は煙草に火を付けた。
山崎はそうですか、とそっけなく返す。
「今、新しい情報が…過激派の獅子舞、というグループの動きなんですが」
業務連絡をしながら、山崎は困った顔をする。
「どうやら、危ない、巨大な…なにか、を持っているという」
「やたら曖昧な情報だな」
俺は煙を吐いて冷たく言う。
「それが…プルトニウムじゃないか、っていう情報まであるんですよ」
俺はへえ、と返事をする。山崎は真剣な表情で俺を見つめていた。
「そのアブねー爆弾抱えて、そいつら何をしたいってんだ」
「それが…おそらくこの町、かぶき町の破壊が目的と踏んでます」
「…厄介だな」
俺は目を伏せた。
「分かった。取り敢えず近藤さんに報せろ。それから先ずは幹部会だ。夕方緊急招集をかけておけ、いいな」
はい、山崎は短く答えると、足早に去っていった。
しかし、一体何のために?
俺は煙を吐きながら、銀色の夢から現実へと、戻っていくのだった。