銀土(原作設定)

□ためす。
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うーん、なかなかこりゃあ、大変そうだな、と銀時は呟く。

新八は道具を運びながら、そうですね、と相槌を打った。

「まあ、今から始めたとしても今日は、床掘って終わりだな…基礎がどうなってるか、確かめて、だけど」

「こんな本格的に土木系の仕事するの初めてですね」

「まさか、土方の部屋とはなあ」

「銀さん、よく受けましたねこの依頼。僕は断るもんだと…だって土方さんと銀さんって、なんか」

「なんか、…なんだよ」

銀時は少々、ばつの悪そうに聞く。

「ちょっと意識し過ぎっていうか…銀さんの態度も、土方さんの態度も、不安になるときがあります」

お互い、斬りかかりそうと思えば、泣きそうな顔してたり…

新八はそういうと、さっ、仕事仕事、と抜け道を掘る作業に入った。

「…」

銀時は、新八にばれているのかも、と思った。
でもそれは、何となく嬉しくもあった。
別にばれたところで、土方への思いは変わらない。
新八だからこそ、気づいたのかもしれない。
土方のことを、万事屋と同じように大事に思っていれば、おのずとばれても不思議はない。

「…俺も仕事しよ」

銀時はシャベル片手に、新八が消えた屯所裏の空き地へと消えた。






「…なんか嫌な予感がする」

巡回中の土方は、機嫌の悪そうな声で呟いた。

「機嫌悪そうですねえ。生理ですか土方さん」

「お前…斬るぞ総悟」

「…最近の土方さんに凄まれても怖くねえや。なんだかぼーっとしてることが多いですぜ」

「なっ…そんなことねえ」

「なんか隠してるんですかィ?」

「…隠し事?」

「…ちょいちょい夜中、消えてるの、知らねえとでも思ってるんですかい」

「…」

「…まあ、いいや。俺は土方さんが裏切ったら、首斬ってやるだけでさあ」

「…斬れよ、別に、この世に未練はねえ」

「…話変わりやすがそういえば、最近…旦那見かけねえな」

「…それがどうした」

「…いや、土方さん…あんた何か知ってないんですかィ?」

「何で俺があいつのことを知る義務があんだよっ」

「…いえ、ただ何となく、ですけどねぇ」

俺の勘って結構当たるんですぜ、勘だけで生きてますから、そう呟くと、総悟はフイと横を向いた。

「…」

土方は、心が焼け付くような感情を抱いていた。
最近、銀時と会うのは夜だけだった。
総悟に気付かれているのかもしれない。
いや…
総悟にこんな思いをさせているのは、ほかでもない、自分だ。
でも…
(土方…好きだ…)
あいつにそう言われると、何も逆らえなくなってしまう、みっともない自分がいることを、悟られたくない。

真選組を裏切るつもりは更々ない。

でも…
銀時は、裏切れない。
裏切る…?
俺の気持ちは…

「土方さん、屯所ですぜ。…ぼーっとして。後ろから斬られたら、あんたお終いでさあ。さっさと死ね土方コノヤロー」

「なっ…総悟てめーはっ…」

ひらひら手を振って、総悟は屯所内に消えた。
土方は一人、ちくりと心が痛んだ。
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