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□Cry&Fight(高土)
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「生憎だが俺はロリコンでもねーしフェミニストでもねェ」

首元に切っ先を突き付けられても全く動じないその姿に、また子はへえ、と感嘆の声をあげた。

「流石真選組の副長っスね。でも、晋助様に触れることはできないっス」

それでも若いまた子は土方の美麗ぶりに心を奪われていた。まじまじと顔を見つめるその姿に変平太はため息を吐いた。

「貴女は全く、いい男と見ればすぐに飛びつく…晋助殿といい、本当に…これだから女になるとだめですねェ…やっぱりもっと純真無垢な姿でないと」

また子は慌てふためき弁明する。

「何言ってるんスかァ!違います、晋助様、晋助様が一番…」

土方はそれまでのやり取りを聴きながら、低い声で言い放った。

「うるせェ」

微動だにしない土方のその姿を見て、高杉はクク、と笑う。

そしてその視線は、土方をしっかりと見つめた。

「ようこそ、真選組副長土方十四郎、だった…よなァ」

ふー、と紫煙を吹きかけられて、土方のニコチン摂取欲が高まる中、その洗練とした姿に高杉は満足した。

「いかにもそうだが。高杉晋助、過激派のテロリストめ…神妙にお縄に付け」

ケラケラと笑うのは、銃を突きつけたまた子であった。

「コイツ、どの口が言ってるんスか」

その隙に土方は、また子の腕を取り、捩じ上げる。武市の剣をまた子の銃でいなし、土方は二人の戒めから逃げおおせた。

「やるじゃねーか」

高杉が楽しそうに呟く。
それを、土方は睨んでいる。

「一体俺をどうするつもりだ。言っておくが、近藤さんをどうかするつもりなら俺を陽動にかけるのは間違っている。うちには、俺の代わりに近藤さんを護れる奴が沢山いるんでね…近藤勲が無事なら副長の俺の替えなんて沢山いる。ようは、俺は役に立たねェ、そういうこった」

「コイツ…やるっスね…」

また子が痛んだ腕を押さえる。

「私はあんまり斬り合いには向いていないのですよ。フェミニストですから」

じゃあなんで刀持ってるんスか!とまた子に突っ込まれる変平太。余りに間抜けな部下の姿に、土方は少し心が安らぐ。何だか高杉、という男は、この部下からするとあまり危険な奴ではないのでは、というあり得ない思いも過っては消えていく。

「…お前らもういい。消えろ」

「でもっ…晋助様っ」

「別に警護は要らねェ。コイツと話してェんだ」

「…分かりました。いきましょう、また子さん」

高杉に言われて、素直に部下たちは去っていく。
びゅうびゅうと強い風が吹く中、高杉は土方の目の前に降りて来る。

「うちの万斉をやってくれたそうじゃねェか」
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