3Pのお部屋

□月が覗いている(銀×土←傍観者月詠、銀×月)
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とある雨の日。
しとしとと降る雨に、若干どんより気味の清太は、はあとため息をついていた。
それもそのはず、外では遊べないし、家に居れば月詠が宿題をやれというので、すっかり何のやる気もしないのだった。
日輪は、清太を眺めるとくすり、笑った。

「清太、宿題が進まないのかい?また、銀髪の侍でも呼んで勉強教えてもらうかい?」

それを聞いて、月詠の表情が変わる。

「おい、日輪…アイツを呼ぶのは賛成できない。わっちが教えればいい事でありんす」

たどたどしく、月詠が言うのを清太が諌める。

「月詠ねーちゃん…態度に出すぎ」

「なっ…そんな、わっちは別に…」

そんなに照れなくても、と日輪が言う。
早速電話電話、と清太が電話を掛けている。
月詠は、しばらく会っていない銀時に何て言えばいいのか、それを考えただけでもドキドキと心臓が高鳴るのだった。

思えば、あの時。
地雷亜のことが片付いた、あの後。
礼をするという名目で、銀時を吉原に呼んだのだった。
でも月詠は酒で酒乱状態になり、銀時と想いは遂げられなかったのだ。

「…どうしたもんかねえ。アンタと銀さん。アンタは惚れてるとして、アッチは…悪くないとは思ってそうだけど。聞いてみればいいのに、気持ちを、さァ…」

月詠は顔を赤くして反論する。

「な…日輪、わっちァ…これでいいでありんす、このまま…このままが一番…」

臆病な子だ、と日輪は言う。
そして清太を見た。

「あの子も銀さんの事慕ってるし…アンタとくっついちまったらどんなにかいいだろうって、思うんだよ、いつも」

「わっちの話はいいでありんす。清太の教育係で、忙しいのじゃ」

日輪はふう、とため息をついて首を横に振った。




日が暮れたころ、銀髪はやってきた。
清太に勉強を教えるという目的だが、月詠は銀時に久しぶりに会える、それだけでも嬉しかった。
ふわふわと漂う銀色に、月詠の胸は高鳴った。


「久しぶりじゃな、銀時」

「よお。依頼サンキュー」

銀時はぼりぼりと頭を掻きながら、だらしなく挨拶をした。いつもと一緒だった。


「…そういえばさ、月詠」

「…なんじゃ」

「報酬の代わり、と言っちゃなんだが、一つ頼まれてくれねーかな」

「わっちにできることなら」

「あのさ、吉原の部屋…一つ借りれねーかな。今日」

月詠は目を丸くした。
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