パラレル
□Re:Re:（たねさんリク作品）
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桜が咲き誇る四月。もう葉桜も目立ち始めた頃になると、教師の忙しい時期がやってくる。
入学式も無事に終わり、教師たちは目まぐるしく動き出す。
年度初めの学校は人の出入りも多く教師・生徒たちのストレスにもなっていた。
土方十四郎もその一人である。
新学期早々、問題児の多いクラスを持たされたことももちろんだが、それ以上にストレスになっていることがあった。
転入してきた教師である。
その教師は毎日気怠く、挨拶もどこか曖昧、頭も天然パーマでなんとなく存在がふわふわとしていた。
来たばかりだというのに態度がでかく、いつの間にか人の心に溶け込んでいるのもまた気に食わないところではあった。
しかし、同じ学年を受け持つということ以外は接点はない。
そこだけはまだ救いがある、土方はそう思う。
スーツにネクタイを締めたその姿は、学校の教師の中では一番目を引くであろう土方は、立ち振る舞いや身だしなみに細心の注意をしている。しかしその転入教師、坂田銀時のずぼら且つルーズな見てくれは土方にとって苦痛でしかなかった。
３０にもなる大人として、教師としても坂田の存在は自分の生き方と相反している。
まあ、しかし同じ学年だからと言ってそんなに関わらなくてもいいだろう、そう考え土方は距離をとる。
教師の学年ミーティングでも土方はほとんど発言しなくなった。
坂田という教師と関わり合いになりたくなかったのだ。
自分でもなぜこんなに嫌なのか分からない。人間だから好き嫌いはある。でもどうも、気に食わないのだった。
「じゃあ、新しい先生方も少し慣れてきたことですし、副顧問を宛がわせてもらってですね…」
教頭である近藤、という男が全体ミーティングで報告するのを、土方はなんとなく聞いていた。
「では、バトミントン部の顧問は引き続き服部先生、副顧問は猿飛先生で。次ですが―」
土方の隣にいる服部、という教師は露骨に嫌な顔をする。女とはごめんだ、という意味だろうか。
「マジかよ…あいつ俺苦手なんだけどな…」
幼馴染なんですよ、とだけ全蔵は言う。
はあ、となんとなく返事をする土方。
「全蔵よろしくね」
はあ、とため息を吐く隣に、土方は他人事の様に薄く笑った。
決まってしまったものは中々覆せない。
自分たちの様に公務員になってしまうと、上からの命には背くことがあまりない。従うしかないのだ。
「剣道部、現顧問は土方先生。で副顧問はー」
土方は少し嫌な予感がして眉を顰めた。
「坂田先生、お願いします」