銀土(原作設定)

□永遠ブルー
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空が青いのは何故だろう。
昔にもおんなじことを考えたことがあった気がする。
そう、幼いころに。




病室の白い壁を見ながら、土方はぼんやりとそんなことを考えていた。

佐々木異三郎、見廻組との先日の戦いを制し、土方は失血で倒れ込んだ。気が付いた時には病室で寝かされていたのだった。
思い起こしてみても、銀時の助けが無ければ、真選組も、自分も危なかったのだ、と思う。
あの男はいつも、痒いところに手が届くように現れ、そして消える。
出会ってから今まで、自分に関わって来た坂田銀時という男を思い出しては土方はどうもため息を吐いてしまうのだった。

初めて会った時は、食えない野郎だと思った。
近藤さんの顔に泥を塗った侍だから、きっといかつい野郎なのかと思った。それなのに現れた男は銀髪の、見た目にも軽い男だったのだ。
自分の刀を折られたときに、負けたと思った。
斬られる、と。
そんなことをまるで考えていないような顔で、あの男は言ったのだ。

『俺の武士道(ルール)だ』

異三郎との戦いで、自分は銀時との腐れ縁を嫌というほど感じていた。

今まで、なんだかんだでじゃれ合って来たが、今回の事は土方にとっては重い。
最後に自分が攘夷志士だと白状したのは、きっと自分達真選組なら分かってもらえるだろうという銀時の驕りだったのだろうか?
白夜叉、と呟いてみる。
そう、白夜叉と言えば聞くにも勝るものはいないくらいの、伝説の攘夷志士だ。
そんな男と自分がやり合ったのかと思うと、胸の奥が熱くなる。でもやっぱり、自分なんかはあの時刀を折られたように叶わないくらいの死地を潜ってきたのだろう、ふとそんな風に銀色を思い出してみる。

自分でも、忘れてしまうくらいに…

あいつを信用していたのだ。

素性の分からない男の事など、こんなに気にしたことは無い。

いつの間にか、あの男は自分の中に入って来てしまっていた。

胸の奥が更に疼いた。
滾る思いは一体、何のために…?


「おーい副長サン」

とぼけた声で呼ばれて、土方は病室の入り口を見る。

そこには今散々考えていた男が立っていた。

「万事屋」

「なんだよ。おめーくらいになるとこんな個室に入院できんの?いいねェ税金で、だろ?違うねェエリートはさァ」

嫌みたっぷりに銀時は言う。

「テメー何しに来やがった。嫌味なら他で言えよ」

明らかに不快な顔をして土方は言う。
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