銀土(原作設定)
□Oh my little boy
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巷では台風が来ると騒いでいる昼間。
坂田銀時、本日が〇歳の誕生日である。
この男、万事屋なる仮アパートでだらしなくソファーで寝ては、むにゃむにゃと寝言を繰り返していた。
だらしない、と言葉にすれば簡単だが要するにただのカス虫である。
「もう、銀さんたらほんとに、早く仕事見つけて来てくださいよ、営業でもなんでもして来ないと僕たち今月やっていけませんよーっ!」
新八に怒鳴られても、一向に起きる気配はない。
それどころか、この男、涎まで垂らしていよいよもって最低である。
はああ、と大きくため息を付くと、新八は掃除していた叩きで銀時の顔面を覆った。
「ぶはっ!!」
「ちょっと!早く営業行けってこらァァァァ!!アンタ社長でしょうが!!」
怒りも頂点に達した新八の一撃をくらい、やっと目を開けるクズ社長は、起き上がると大きな欠伸を一発、したためた。
「なーんだよ、こんないい気持で寝てる人間をさァ…おかーさんか?オメーは」
「何が母さんですか!さっさと働けっての!」
新八がいきり立って叩きを掲げたところで、頼もう、と玄関で声がする。
新八はまさかの展開に嬉々として駆け出す。
「やった、依頼ですよ、きっと!」
バタバタと掛けだして玄関に行くと、そこには見慣れた顔が立っていた。
「や、新八君。銀時はいるか?」
「あ…桂さん」
新八は依頼じゃなかったことにがっかりするが、久しぶりに会った桂にも少し驚いていた。
ガタガタと音がして、家主が登場すると一気に桂の雰囲気が変わった。
「銀時、なんて格好をしているのだだらしない…侍というものはだな、いつでも身だしなみを整えておかねばならんぞ」
「なんでェヅラじゃねーか…起きて損した。また寝ーようっと」
「ヅラではない桂だ。それより銀時、お前に渡したいものがあってな。邪魔をするぞ」
桂は草履を脱ぎ、家に上がり込んでくる。
新八ははい、と言って台所に駆け込みお茶の準備をする。
その間二人はソファーで向かい合い話し始めていた。
「実はな、銀時。これなのだが」
「ん?」
机の上にコトリと置かれた瓶を見て、銀時は腕組みをした。
「なんだコレ。おい、ヅラが買ってきたのか?」
「ヅラではない桂…まあいい。これはな銀時。『黒蜜』という代物だ。なかなかお目にかかれるものじゃないぞ」
「あん?なんでそんなものがここに?」
桂はドヤ顔で答える。