銀土(原作設定)

□銀色を探せ!
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真っ暗な中で、自分の吐息を聴く。

「はあっ、はあっ、…」

目の前の暗闇は一際、肌の感覚を増幅する。
視覚が奪われると、他の感覚が際立つのはこういう意味だったのか、と俺はぼんやり思う。

「やめ、ろっ…」

衣擦れの音に、水音。
自分の中を執拗に犯してくる、”何か”。
そもそも、どうしてこんなことになった?
どうして俺は…
銀時…銀時は…
何処にいるんだ?

「ぎ…ん…」

ぐい、と奥に侵入してくる手を、受け入れてしまい背徳の快感から俺は嬌声をあげた。

「あああっ…」

もうダメだ…
俺…このまま…












思えばそれは、他愛のない事だった。
不意に、仕事中に来た、一通のメール。
送り主のアドレスは、自分の知らないものだった。

『重要な証拠を掴んだ。情報を提供したい。下記まで来られたし』

まさに四角四面なメール内容だったので、もしかしたら攘夷志士の罠かもしれないと思いつつ、それでも自分には一人で何とかできるという思いがあったのかもしれない。
住所は、さびれた下町にある、ビルの最上階の一部屋だった。

何か声はしないかと、俺はドアに耳をあて、様子を探る。
しーんと静まり返った中からは、全くと言っていいほど音はしなかった。

(おかしいな…絶対過激攘夷派の奴らだと思ったんだが)

何かの間違いか?
それとも、総悟か誰か、真選組の奴らの冗談か?

俺は古いタイプのドアノブに手を掛ける。それと同時に、刀の柄を握った。

勢いよくドアを開けて、刀を抜く。
そこは、真っ暗で、何も見えなかった。

「…?」

沈黙を保ちながら、俺は中に一歩、踏み出す。

コトリ、と自身の靴の音がしんと静まり返った部屋に響いた。

更に一歩。
もう一歩…

そこまで歩いたところで、いきなりガタン、と音がする。
振り向くと、ドアが閉められている。
ガチャ、と鍵の掛けられる音がした。

…嵌められた。

気付いた時には遅く、暗がりの中で目がくらんでいる俺に誰かが手刀をしたのだろう、刀がカランと床に落ちる音がした。
最悪だ…

「誰だ、お前…攘夷志士か…?」

俺は冷静さを保とうと静かに語りかけた。
そう、攘夷志士でないことを、心の底から願いながら。
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