銀土(原作設定)
□白に染まれ
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「見事な秋晴れですねえ銀さん」
いつもの河原で、そう話しかける新八の隣で座り込む銀時。その眼はいつものようにまるで死んだ魚のようで、新八は苦笑する。薄い水色の空には鰯雲が、段々と模様のようで、綺麗だ、と新八は思った。
「…そーだな…」
曖昧な返事をして、銀時は定春と戯れる神楽をぼんやりと見つめた。少女が犬と楽しそうに遊ぶ姿を見るのは、こんな銀時のような曖昧でいい加減な男でも、気が和むのだろうか。
「このくらいの季節が、やっぱり気持ちいいですね、涼しくて…はー、今年の暑さときたらもう、ホントにヤバかったですからね」
くす、と笑って銀時は、新八に言う。
「オメーはよ、血気盛んな十代の男がよ、ジジーやババーみてえな季節やら気温の話ばっかしやがって…そんなんだからお前はいつまでたっても童貞なんだよ」
新八が顔を真っ赤にして言う。
「そっそんな…僕が童貞かどうか、なんで銀さんが知ってるんですか!もし僕が童貞じゃなかったらどうするんですか??」
「あー心配すんな新八。お前はどっからどう見ても童貞だ」
「…あっそ」
新八は怒ってそっぽを向く。
それを見て、銀時ははは、と笑った。
ふいに芝生にごろっと寝っ転がって、銀時は頭の下に腕をやる。
「まー、童貞なんてそんなもん…いつかは喪失すっから大丈夫だよ新八」
むっすり膨れて新八は言う。
「…僕は…そんな…別に今すぐ女の子とどうにかなりたいなんて思ってませんから。…銀さんみたいなただれた恋愛してる人とは違うんですよ」
「オメーなんで銀さんがただれた恋愛してるとか知ってんだよコノヤロー」
「そんなもん見りゃ分かりますよ…そういえば銀さんって、初体験いつだったんですか?」
興味本位で新八は銀時の顔を覗き込む。
「…何でそんなこと言わなきゃいけないんだよ」
「えっ…ちょっと、今まで僕のことからかってた癖に、何なんですか自分の事になった途端…」
冷たい目で新八は銀時を見つめる。
「まー、いつか酔った時にでも、な」
にま、っと笑い銀時は神楽からフリスビーを奪い定春にそれを投げた。わんわん、と鳴きながら勢いをつけて、走っていく。きゃはは、と神楽が笑うのを、新八は眩しそうに見つめた。
「はー、平和って感じがするな」
そう言えば、明日は銀時の誕生日だ。
何にも銀時は言わないが、お祝いをしたらきっと喜ぶだろう。計画しよう、そう新八は思った。
「銀さーん、買い出し行きましょうよ、明日銀さんの誕生日ですからね」
買い出しは、なるべく前日にしておきたい。何故なら家には大喰らいがいるからだ。ケーキは…作った方が安上がりだな。はあ、大変だなこりゃ…
はーいメガネ、そう神楽が応える。銀時はぽりぽりと頭を掻いて、照れくさそうに何だよ、と言った。