銀土(原作設定)
□まじわる。
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雨の日曜日。
銀時はいつものように、机の上に足を載せ、顔にはジャンプを載せて大いびきをかいていた。
「はあ〜。銀さんったら、いつも以上にだらけてますね」
新八は深くため息をついた。
外の雨脚は、次第に強くなっていく。
梅雨もピークで、洗濯物が乾かないことも新八のため息の原因だった。
「全く…最近は土方さんと会ってる様子もないし…どうしたんだか」
新八は、銀時と土方の関係に気付いていた。
でも、深く銀時に突っ込むのはやめていたのだった。
何となく、江戸っ子の名が廃る、というか。そんな気になっていた。
野暮、というのが人の恋路に首を突っ込む行為に適切な言葉だと思っていたからだ。
掃除機を片手に、新八は部屋中を掃除して回る。
土方さん…
不思議な人だ、と新八は思う。
銀時も十分に不思議だが、土方のそれは近しい間柄では無いためか、尚更不可思議に思う。
男同士で、恋人のような…ことをしているという事実を抜きにしても、銀時相手にあれだけ突っぱねておいて実は深い仲だった、ということが新八にとっての一番の謎だった。
銀時は、好きな子をいじめそうなキャラだったので何等不思議は無い。土方を構いすぎてこっちが赤面しそうな時もあったくらいだ。
「忙しいんでしょうかねえ…土方さん…」
びくっっと跳ね起き、銀時は
「はっ!?ナニ??土方??今土方って言った??」
涎を垂らした情けない顔で、きょろきょろと周りを見回す。その姿に新八は呆れるだけだった。
「…銀さん、そんなに気になるなら、会いに行けばいいでしょう。どうしたんですか、銀さんらしくない」
「…なんだ、夢か…うっせー、いいんだよ、これで…」
ふてくされたような顔をして、銀時はぼりぼりと頭を掻き、自分の寝室に消えた。
「まったく、もう。素直じゃないなあ。この二人は…どこまで似てるんだか」
新八は、銀時が視界から消えると、掃除機をより一層強くして、掃除を始めた。
外に聴こえるのは、ザーザーと強くなる雨の音だけ。
掃除機の音と相まって、それは一層うるさかった。
銀時の心の中を、のぞいたようだ、と新八は思った。