銀土(原作設定)
□ためす。
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今日はぽかぽか陽気で、万事屋の面々は三人で仕事に来ていた。
仕事の場所は、なんと…あの真選組屯所である。
それも二日前、山崎という隊士が、銀時のところに来て依頼をしたからだった。
「こうして依頼したのは、他でもない…万事屋の方々なら、僕達真選組のこと、色々知っていただいてるので、秘密を守っていただけそうだと、思ったからなんです」
銀時はいつものように、ソファーに座っている。それの向かいに、山崎が座っていた。
ことん、とお茶の入った湯呑を、新八が持ってくる。神楽は、定春と尻尾で戯れていた。
銀時はぽりぽりと、頭を掻きつつ、山崎の話に耳を傾ける。
「で、用件はどんな感じなの?…仕事だって言っても、内容によっては、さあ…」
「あ、その…大きな声では言えないんですけど、うちの、屯所の…ですね」
リフォームをして欲しいんです、と山崎は言った。
「はぁ?そんなもん、リフォーム業者に頼めば…」
「頼みたいのは山々なんですが、リフォームするのが…あの、土方副長の、部屋なんですよ…」
銀時は、どきり、とする。
が、いつものポーカーフェイスでしのいだ。
「え、どういうこと…もしかして、タバコ吸えないようにするとか」
あはは、と笑って山崎は言う。
「まさか、そんな。副長の部屋の、中に外へ抜けられる道を作りたいんです」
「ニコチンコの部屋に入るアルか?嫌アル」
「えっ、でも…それって土方さん知ってるんですか、僕たちが行くってこと」
神楽と新八は、即座に不安そうな顔をする。
銀時はそれを見て、わざと不満そうに山崎に語りかける。
「まさか、土方君に知られないように、とかじゃないでしょーね」
「最初から言うことは、避けたいんですよ…絶対にイヤダ、って言うのは目に見えてますから。でも、局長命令ですし…とにかく、最初は知られないように、少しずつ進めてほしいんですよ」
「報酬は…もちろん弾んでもらえるんだよな?」
もちろんです、と山崎は分厚い袋を出した。
「これが前金です。材料費と、最後に差し引きして足りない分は追加で払います」
オォォォォーーー!!と万事屋の面々は声をあげた。
「銀ちゃん、今日こそ焼肉に行くアル」
「銀さん、受けない手はないですよこれは!」
「あー…こいつらもこう言ってるし…、しょうがねーからやってみるわ…極秘任務ってやつでね…土方くんに、なるべく知られなきゃいいんだよな…?」
「はい、知られたらそれで…観念するでしょうし、リフォームの話自体は副長知ってますから」
わかった、と言いつつ銀時は袋を受け取った。
「早速、明日から行くよ…あんまり気は進まないけど…ヤローの部屋見るなんて」
ははは、と新八は笑う。
銀さんと土方さんって、気が合わないんだか合いすぎてるんだか…と言いつつ、新八は山崎に新しいお茶を入れる。
銀時はぎくり、としつつも、これで土方の部屋に行く口実ができた、と口元が緩む。
「銀ちゃんそんなに嬉しいあるか〜焼き肉」
「おっ、おうよ!ったりめーだろ、だって、何年振りかね、焼き肉なんてね」
「銀さん、そんなに浮かれて…とりあえず、材料から買いに行きましょうよ…焼き肉は仕事が終わってからですね」
よかった、と言って山崎はお茶をすする。
「よし、さっそく行くか新八。神楽はジミー君に設計図とかもらって来い。じゃあ、屯所で集合な神楽」
たたた、と小走りに家を出る銀時を見て、神楽は浮かれてるアルな、と呟く。
それに相槌を打つように、定春がきゃうん、と鳴いた。