銀土(原作設定)
□白に染まれ
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いつもの銀時御用達の居酒屋には、客がまばらなほどだった。この店は、かなり遅くまでやっていて銀時が良く使う店だ。
いらっしゃい、そう店員が告げるのを聴きながら銀時はまっすぐいつもの席に座る。…すぐ隣には着流しを着た土方の姿があった。
「…待ったか?」
「…別に…一人で飲んでたからいい」
土方は銀時の顔も見ずにそう答える。
怒ってんのか…?
銀時は土方の顔を覗き込むようにして言う。
「…ねえ、何時ごろから来てたの」
「…さっきだ」
「さっきっていつ」
いつでもいいだろ、そういって土方は日本酒を煽った。
じっと土方を見つめる銀時に、店主が話しかける。
「旦那、何にします」
「うーん、そうだな…焼酎水割りで」
あいよっと店主は言うと、すぐさま氷をたっぷり入れた水割りを持ってきた。
「…お前、焼酎なんか飲むのか」
「うーん、たまに」
へえ、とそっけない返事の土方。こっちを見ようともしない。
堪らず銀時はぐい、と土方の顎を掴む。
「こっち向けよ」
「…」
土方は一瞬合った目を、恥ずかしそうにそむけた。
「…やめろって」
銀時の手を振り払う。
土方のその仕草は、触ってほしくてしょうがない、そんな感じに銀時には見える。
(何だこれ…今日はいつにも増して、土方君かわいい…)
「こんなとこで、やめろって。誤解されたらどうすんだよ」
「いいじゃん、俺はそれでもいいぜ」
「俺は困る」
有名人は大変なこって、銀時は焼酎をぐいと飲んでそう言う。コップのグラスに付いた水滴をなぞって、土方の手の甲に何かを書いた。
土方は、びく、と反応する。
銀時の書いた文字を、解読しようと一生懸命だった。
(んー、可愛い)
書いた文字を見て、土方は赤面する。
真っ赤な顔を、土方は片手の掌で覆った。
『すき』
ひらがなでそう書いただけで、この反応。
銀時はにやり、ほくそえんだ。
「まー、飲みなよ、ほら」
銀時は徳利を持つと、土方の猪口に注ぐ。透明な液体を唇に運んでいくその仕草が、最高にエロい、と銀時は思う。
土方の唇は薄く、銀時は何度も唇を重ねたあの瞬間を思い出した。そして、あの唇に自身のモノを咥えさせたことも…
(あー、ヤバい。こいつ何でこんなにエロいの…)
「オイ土方コノヤロー」
「…何だよ。やる気か?」
「どうしてくれんだよ、勃っちまったじゃねーか」
「は?」
「お前のエロい顔見てたら、勃っちまったっての」
「…なっ…お前…よくそんなこと…言えるな…公衆の面前で」
土方は恥ずかしそうに俯く。
「お前…したくねーの?」
「…」
銀時の煽り文句に、土方は黙っている。
「…今日…家来る?」
「…ガキ達がいるだろ」
「いねーよ、今日は」
それだけ言うと、銀時は焼酎を飲み干した。
「土方君のえろーいとこ、全部見れる」
「もーやめろって」
流石に耳まで赤くなってきたので、銀時は言うのをやめた。
「じゃあ飲めよ。久しぶりだな、二人で飲むのって…」
とくとくと、いい音がする徳利を、銀時は眺める。土方は、今の時点で結構酔っている。このまま酔わせれば…夢の…プレイができるかも…
「そういえば、明日」
酒を注がれながら、土方は呟く。
「…何」
「いや…何でもねえ」
どうせ、ガキ達と何かしら祝うのだろう。そこに自分が出ていくのも、何か違う。土方は、猪口を飲み干した。
「いいねーいい飲みっぷり。もう一杯」
銀時は珍しく土方を持ち上げるように、次々に酒を注ぐ。
土方は注がれる酒をすべて飲み干していた。
少し、眠いような…そんなほろ酔いの気分になっていた。
「勘定」
銀時のその声で、土方ははっと目が覚めた。
「おい、万事屋…」
「ああ、少し寝てたみてーだなァ。いいぜ、俺の家すぐそこだし、俺が肩貸すから」
銀時が珍しく年上らしいことをするので、土方はそのまま任せていた。
勘定を終えると銀時は、土方に肩を貸すようにして外に出る。
外は結構冷えていた。
土方は、銀時に傾れかかって歩く。
土方のはだけた胸元を、銀時はじっと見つめた。
「ほんと…エロいね…他の誰にもこんな姿、見せんなよ土方。お前、無防備すぎなんだよ…」
「あん?…誰が無防備…俺ァ女じゃねェし」
「女じゃねーけどよ」
ほら、と銀時は土方の胸元に手を滑り込ませる。小さく立ち上がった乳首を、指先でツイ、と摘んだ。
「ああっ…」
小さく声をあげる土方。
「ほらー、こんな声出しちゃだめだぜ?」
「路上でこんなこと…すんじゃねー…」
口では否定していても、触れば反応する土方の身体が、銀時は愛おしかった。
「はいはい。帰ったら…お楽しみだね土方君」
銀時は土方を抱えて、万事屋の階段を昇る。
土方が肩に傾れかかったまま、鍵を開けるのは何とも難儀だったが、銀時は楽しみでわくわくとしていた。…さっき新八と話した、初体験の時のようにドキドキと、銀時の心臓は脈打っていたのだった。