名探偵。long
□第3章
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「色々、事が進んでる所すまないが。」
「…なんですか?」
ライが喋り出した途端、バーボンの顔が険しくなった。さっきの笑顔はどこへやら…人を殺せそうな目線でライを睨みつけている。
「猫を被るのも程々にしとおけ、瑠璃。」
「え…?」
なんだと!!確かに被ってるけども!
あと名前で呼んだな!
「ライ…そんな言い方ないだろ!!仲間をなんだと思ってるんだ!」
「ば、バーボンさん…大丈夫ですから!」
「スコッチの件、絶対許さないからな!」
「ん?」
す、スコッチ?そんな人いたかな…
「バーボンさん落ち着いて!」
「っ…!す、すみません…お見苦しいところを…」
「いえいえ…」
「…さ、行きましょう。仕事話をしながら、お茶でもしませんか?」
「いいですよ!…、」
ふとライが気になり、思わず後ろを振り返る。
「………。」
「っ…!」
凄く悲しそうな表情をしていた。
……過去に何か…?
「ちょっと待って下さい!」
「どうかされました?」
私の足は
勝手に動きだして。
「……ら、ライさん」
「…なんだ?」
「……行きたいなら…い、一緒にお茶しに行く?」
「…!?」
「え!?藤河さん?!ライはひどい事を…」
「行きたくないなら行かなくてもいいから!!来なくていいから!と、特別に…」
矢継ぎ早に言葉を並べていく。
自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた。
「っていうか、来なくても大丈夫っ…」
突然、くしゃくしゃと頭を乱暴に撫でられる。
「っはは…。ありがとう、ついて行かせてもらうよ。」
「…あ、」
初めて見る優しい笑顔に、おもわず言葉を詰まらせる。
なんだ、優しい表情出来るじゃない…
「…ということだから、ついて行かせてもらうよ。バーボン?」
「…仕事の邪魔したら許しませんから。」
「しない、約束しよう。」
2人の不穏な空気に挟まれながら
人気のカフェへと向かった…
「藤河さんだったよな。
…本性出てたな。」
帰宅中の車の中で
バーボン…こと安室透は小さく呟いた。