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□ふわりふわり
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答えなんてわかりきっていた

でも、それでもどこか彼の答えに期待をしている自分がいた
不安と期待の狭間で私は


「シュウには…手に入れたいって思うものないの?」


ソファに寝ているシュウに聞いていた


うんざりしたような顔で私を見上げるシュウは

口を開くのもだるいとでも言いたげにため息をついた


「…そんなものない…」


目を閉じて眠りに戻った彼と自分の浅はかな期待に嫌になった


分かっていたはずなのに
どうして聞いたのだろう


シュウが何かに執着するはずがない
それでも好きでいる、傍にいると決めたのは私自身だった

音楽を聴いて機嫌がよさそうな彼の中に
私はいない


考えれば考えるほど泣きそうになってくる



「…なに、なんであんた泣きそうな顔してんの?」

「え?」

「めんどくさ…」


いつもならなんてことない言葉も胸に刺さる
情けないけれど、今はシュウから離れたほうがよさそうだ




泣く前に

シュウから………




深い青色の目が私を見ていた
吸い込まれるような感覚に陥る


「あんた……」

「…ちょっと散歩行ってくるね」


もう限界だった
シュウから逃げるように部屋を飛び出す


「おい…!」


扉が閉まる時
シュウが呼んだ気がした




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