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□夜は長い
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何があったのか覚悟してシュウの言葉を待つ
こんなに甘えるシュウは初めてかもしれない


「……嫌な夢を見た」






今なんて?




「……だから眠りたくない」




ちょっと待って…



「シュウ?」


なんと言えばいいのか言葉が出てこなかった
ただ私の心臓は鷲掴みにされていた


え?


「どんな夢だったの?」

「スミレが…俺が眠っている間にいなくなる…夢」


そこまで言ってシュウは私を一層強く抱きしめた
苦しい
でもきっとシュウは確認しているんだと思う
私がここにいることを
そして私がいなくならないように捕まえているんだろう


ふわふわの髪の毛をなでる



「シュウは私がいなくなると思うの?」

「…………」


子供をあやしている気分だった
よしよしと髪の毛をなで続ける


「大丈夫だよ、シュウの傍にいるから」




すぅ…


あれ


耳元で聞こえる規則正しい呼吸音



「シュウ?」

「…………………」



寝てる



ふっと息が漏れた
いつもだるい寝てばっかりの吸血鬼が
まさか夢ひとつで眠れなくなるなんて…


かわいいなぁ



そして
これで私も眠れる



「おやすみ」



小さくつぶやいた言葉は彼の寝息に吸い取られた




まだまだ夜は長い


彼のぬくもりを感じて眠ろう






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