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□一人占め
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イライラする
眠気も覚めるほどに


「…………」

「ずいぶんとご機嫌ななめだね〜」


ライトがニヤニヤしながら俺を見ていた
バレてるよとでも言いたげな表情にさらに腹が立つ


「そんなに嫌なら嫌って言えばいいのに」


ライトの言葉に詰まった
図星で俺はこの三つ子の1人を睨むことしかできなかった


本当にイライラする
音楽も雑音にしか聞こえない
音楽プレーヤーは机の上に投げ出されたままだ


「案外シュウって…」

「…黙れ」


悪びれもせず笑ってライトは爆弾を放った


「怖いから俺もスミレちゃんのところに行こうっと」


あっという間にいなくなくった弟に俺はため息をついた

何にイライラしてるかって

それは

彼女が弟たちに囲まれていること
わいわい賑やかにやってること
とても楽しそうなこと

ちがう



彼女にイライラしてる訳ではなくて
自分自身の小ささに腹が立って仕方がない


「シュウはやらないの?」

「あんな穀潰しがやるわけないですよ」

「そうそう」


勝手に決めるな、と思うけれど
やる気なんてないし絶対やりたくない

そいつは俺のものだ
さっさと散れ

そう言うのは簡単だ
だが、最近彼女がすごく寂しそうな顔をする
それが嫌で最近は何も言えない
イライラして全員を無視する

悔しいが弟たちとわいわい遊んでいるスミレはとても楽しそうで
いつまでも見ていたいと思う


むかつく
スミレを笑顔にできない自分に

少しくらい俺にも気を遣えよ
横目で彼女を見ながら呟いた


「シュウ?」


瞬間的に視線が重なった
遊びを抜けて俺の寝ているソファに駆けてくる

それを嬉しいと思う俺はもう末期だ


「何かしたの?音楽プレーヤー投げ出して…めずらしいね」


答えるのも面倒
何も言わずにスミレを見る

あんたは俺のだろ
そう言いたいのに言葉が出てこなかった


「一緒にゲームやらない?」


俺よりゲームか
治まりつつあったイライラがまた暴れ出す


「行くなら勝手にやればいい」


口から出た言葉はスミレを切った
途端に寂しそうな顔する彼女から俺は目を逸らした


「そう…」


傷つけられたのはどちらだろう


「おい!お前の番だぜ!」

「う、うん!待って!今行くから!」


遠ざかっていくスミレ
俺は一体何がしたいんだ
何をしてるんだ

振り出し、いやそれ以下に戻った現状にため息が出た




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