虎牛設定(補完)

□その3
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#22

作成:2018/04/13




お使いで大きな町にやってきた虎と牛。

「もう夜なのにこのあたりはすごい明るいなぁ」

田舎生まれ田舎育ちの十四郎は、物珍しそうにきょろきょろと当たりを見回している。

予定よりも遅れてしまったので、宿泊先の宿屋までの近道として通ったのは、ネオンがド派手に点滅していいる、いわゆる、

「あー、繁華街だからな」

ということろだ。

「繁華街って?」

「大人の遊び場、かな」

詳しい話はまだ十四郎に早いかと思って遠まわしに言った銀時だったが、

「あ! キャバクラとかピンサロとかか?」

そんな風に返されて銀時のほうが驚かされる。

「……よ、よく知ってんな」

「近藤さんが"行きたいぃぃぃ"って言ってた」

「ああ」

情報の相手が近藤だと知って銀時は納得する。

十四郎の様子だとさらに詳しいことは知らないらしく、総悟との会話を教えてくれた。

「そしたら総悟が、"近藤さんは女にカモられるんでやめときなせぇ"とか言いながら、俺には"ホストクラブにでも行ってカモられてこい"とか言うんだぞ……ホストクラブって?」

「んー……キャバクラの男版、かな」

だいたいそんなところだろう、と適当に銀時が答えると、十四郎が正面を指差して言う。

「あんな感じか?」

「ん?」

だいぶ離れた店の前で、呼び込みをしている男に女たちが近付いていくところだった。

こちらに背中を向けている男のほうは黄色の毛並みの虎ようだったが、相手がホストだからなのか兎と犬の女がキャッキャとはしゃいでいる。

「金ちゃーん、今日も来たよぉ」

「いらっしゃーい。今日も会えて嬉しいよ」

「友達も連れてきたから早くお店入ろっ」

「あー、ごめん。呼び込み交代までまたちょっとあるから、中で待ってて」

「えー、いいじゃん、入ろうよー」

「俺まだ新人だからさー、ちゃんとやらないと肩身狭いんだよねー」

「…分かったぁ。早く来てね」

なんて感じのやりとりをしているところで、

「そうそう、あんなかん…………!!」

答えようとした銀時だったが、女たちを店内に見送った男がこちらを向いたとき、ギクリと身体を強張らせて動けなくなった。

それに気づかない十四郎は、虎の顔を見て首を傾げる。

「あれ? あの人、銀時になんか似てる?」

道行く女に声をかけている虎は毛色こそ違うが、顔も背格好も銀時にそっくりだった。

「お嬢さ〜ん、今の時間なら空いてるよ〜、イケメンが接客してくれるよ〜、寄ってか…………ん?」

少し離れたところで足を止めていた銀時と十四郎に、その虎も気づいたようで、銀時を見て同じように動きを止めた。

とても無関係とは思えない二匹だったが、銀時は怖い顔で相手を睨み、向こうはヘラッと笑って声をかけてくる。

「……」

「あれれぇ、お前……もしかして銀時?」

親しげではあったが相手は虎だし、銀時の様子はおかしいし、十四郎は思わず銀時に寄り添うように背後に隠れた。



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