虎牛設定(補完)

□その1
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伝説のでり〜しゃすマヨネーズが嘘だったとなれば、別のプレゼントを考えなくてはならない。

急いで帰らないといけないのに、銀時の足取りは重かった。

何かめずらしいものがないかと探したり、十四郎が今まで嬉しそうにしていたことを思い出したり。

四日目、十四郎の誕生日当日になってしまったがまだなにも見つけられていなかった。

早く戻らないと間に合わなくなってしまう。

ふと向けた視線の先に、十四郎の好きな柔らかくて美味しい草がたくさん生えているのが見えた。

今はあちこちに生えていて全然珍しいものじゃなかったが、銀時はそれを摘んで帰り道を急ぐ。



「じゃあな、トシ」

「うん。みんなありがとう」

暗くなり、十四郎の誕生日を祝ってくれたみんなが帰るのを見送った。

プレゼントも美味しい物もたくさんあって嬉しいはずなのに、十四郎の気分は晴れないでいた。

家の前のベンチに座り、ポケットから紙切れを取り出す。銀時が書きおきしていった手紙だ。

約束の昨日になっても戻らず、今日もずっと待っていたのに帰ってこない。

心配する十四郎にみんなが、虎なんだから大丈夫だよ、って言うから我慢したけれど本当は探しに行きたいぐらい不安だった。

こんなに暗くては牛一匹で森を歩くことはできない。

祈るように手紙を握り締めていると、道をとぼとぼ歩いてくる虎が見えた。

「銀時っ!!」

駆け寄ってくる十四郎に、銀時は表情を曇らせる。

「大丈夫かっ?怪我とかしてないか?」

「……ごめん……俺、十四郎が喜ぶプレゼント…見付けられなかった……」

そう言われて、四日も銀時が姿を消していた理由を知った十四郎は、

「……バカっ!!」

と怒鳴りつけて、驚いた顔をしている銀時にぎゅっと抱きついた。

「みんなが祝ってくれたのに、お前が帰ってこないから心配で不安で…あんまり楽しくなかっただろっ!どうしてくれんだっ!」

「……ごめん……」

「俺を喜ばせたかったら、ずっと一緒に居ろ!楽しいときにお前が側にいて、お前も楽しいなら俺はそれが一番嬉しいんだからっ」

「……うん……」

銀時も十四郎の背中に手を回して抱きしめると、持っていた草の匂いに十四郎が気が付いた。

「…良い匂い…」

「あ、十四郎が好きな草、採ってきた」

そう言って差し出した途端、銀時の腹が鳴った。そういえばずっとまともな食事をしていない。

十四郎は笑って、

「ケーキ、銀時の分残してある」

家からケーキを持ってきてくれた。甘い物好きな銀時のために、だいぶ大きめに取って置いてくれたようだ。

ケーキと草を交換して、ベンチに座る。

「うまいか?」

そう聞くと、夢中で食べながらうなづく銀時に十四郎はようやく安心して、自分も銀時が採ってきてくれた草を食べる。

それを見た銀時は手を止めて聞いてみた。

「…うまいか?」

「うん。今まで食った中で一番うまいよ」

十四郎がそう答えて嬉しそうに笑ったから、銀時は十四郎にとってなにが最高のプレゼントになるのかを知った。



あとがきがない(笑)
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