原作設定(補完)

□その4
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♯35

作成:2015/04/27




屯所への道を考え事をしながら歩いていた土方。

ときどき躊躇うように足取りを遅くし、ようやく決心して踵を返す。

万事屋のチャイムを鳴らすと銀時が出てきて、

「あれ?どした?」

と相変わらずやる気のなさそうな声で言うから、その肩を押して中へ入ると壁際に追い詰め、唇を重ねた。

ほんの数秒で体を離し、ここに来るまでに溜め込んできた言葉を告げる。

「……お前が…好きだ……」

一連のあいだずっと驚かされっぱなしの銀時は吹き出して、嬉しそうに笑った。

「早ぎね?」



30分前。

帰り支度をしてる土方に向かって、布団の中から銀時が話しかける。

「次いつ来れんの?」

「分からん」

「……だよねー」

不服そうな声に土方が眉を寄せる。

「………なんだ?」

「なんかさ、俺、不倫相手を待つ女みたいじゃね?男の都合の良いときだけ会ってヤルだけ、奥さんにバレないように我慢ばっかり、とか」

「……昼メロの見すぎだ」

「ああ、不倫でもねーか。“妻とは形だけだ。本当に好きなのは君なんだ”っていう常套句がねーもんな。んー、となると…セフレ?」

「………」

「うわ、無反応?もしかして当たりですかコノヤロー」

「……てめーは…俺がなんとも思ってねーやつとヤレルと思ってんのか」

「思ってねーよ。いつでも生娘のような気持ちで足開いてくれてるって分かってますぅ」

なんつー言い方をしやがる、と土方は怒りと恥ずかしさで頬を染めながら、ふざけた物言いばかりする銀時の本音を問い詰めた。

「何が言いてー」

「耐える男の銀さんに、好きだ、の一言ぐらいあってもよくね?」

確かに土方は一度も言ったことがなかった。

性格じゃないし、今更だし、分かってると思ってるし、恥ずかしいし。

言い訳ばかり浮かんだ上に、出た言葉は逆ギレだった。

「…てめーだってヤッてる時にしか言わねーだろーが」

「言っていいの?土方くんが困った顔するから言わないようにしてたんですけど」

素面とか、その場の雰囲気とかでなんか余計に言えるか。

「それに、ヤッてるときなら流されて言ってくれるかなー、て計算だったんですぅ」

こっちはいろいろイッパイイッパイでそれどころじゃねーし!……てのは喜ばせるだけだな。

銀時の返答に突っ込みたい言葉も口から出すことはできなかった。

なんで頑なに言えないのか、その理由が自分でも分からないのに、答えてやることができるはずもない。

じっと見つめる銀時の視線に背中を向け、

「………いつか、気が向いたら言ってやるよ…」

そう素っ気なく言って土方は帰ってしまった。

銀時は深いため息をつく。



帰り道ずっと、逆にこの機を逃したら一生言えないんじゃないか、銀時だって口に出してしまった以上“いつか”を寂しいのを我慢して待つんじゃないか、これじゃ仕事に集中できないんじゃないか、とか、悶々と考え続けて戻ってきてしまったのだ。

くすくすと笑いながら自分を抱き締める銀時に、これでもう言わなくて済むな、と酷いことを考える土方だった。





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書いてたら、土銀じゃね?、と思ったので、
無理やり銀土になるように恥ずかしいセリフを入れました。



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