原作設定(補完)

□その3
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♯28

作成:2015/04/21
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「万事屋を呼ぶ?」

真選組は年に数回、屯所内で宴会のようなものを催していた。

普段私服で外へ飲みにも行くのだが、帯刀している彼らが集団で宴会を開くと悪い虫が寄って来たりする。

それならいっそ屯所内でやってしまおうと局長自ら提案したものだ。

夏を前に英気を養ってもらおうと企画した宴会の相談していたら、近藤が言い出したことに土方は眉を寄せる。

「なんだかんだであいつらには世話になってるしな。ダメか?」

トラブルの元になってるのと相殺したらゼロだろう、と言ってやりたかったが、近藤の企みは別にある。

分かっているから意地悪で、

「じゃあ、追加で3人だな」

と言ってやったら、

「え、いや、ほら、3人前じゃ足りないかもしれないだろっ。育ち盛りの子供もいるしっ」

と大焦り。お妙も一緒に誘えないかと思っているのだろう。何べんひどい目にあっても懲りない戦友に、呆れながらも羨ましくもある。

万事屋の参加を許可はしたが、土方は難しい顔をしていた。彼には外に隠しておきたい持病があるのだ。

「山崎」

副長室に戻る途中で山崎に声をかけた。




宴会当日。

子供らが一緒のためお妙も来てくれたものの、「未成年に飲ませたら殺しますよ」と言い残して帰ってしまったため、近藤のテンションは下がり気味だ。

出来上がった奴らが部屋の後ろに転がされ始めたころ、銀時がふらりと座ったテーブルには土方と山崎がいた。

今日は最初からずっと不機嫌そうな顔をしている土方は無視し、間に座る山崎に酒を勧めてみた。

「や、俺は今日は遠慮しときます」

「あー?飲めねーの?」

「そういうわけじゃ…」

「山崎」

土方に名前を呼ばれると、山崎は部屋の隅に置かれた湯煎用の鍋から銚子を一本持って来た。

「副長、これで4本目ですからね」

「ん」

答えて手酌で盃に注ぎ一気に飲む。不機嫌面はかわらないが赤くなってるし酔ってきているようだ。

「なに、お宅の副長さん、酒量制限されてんの?ドクターストップですかぁ?」

山崎が飲まないのは土方のためだろうと踏んだら、土方にジロリと睨まれてしまった。

「違いますよ〜。ただ限界を超えるとマズイ病気が出ちゃうんで…」

「…病気…」

「や、そういう病気じゃなくてですね…とにかく4本以上は飲めないんですよ」

「……5本あるけど?」

「えっ!!?」

山崎が振り返ると、土方の前には空いた銚子が4本。そして土方の手に1本握られ、それを飲んでいるところだった。

「さっきは4本だったのに!」

と山崎が焦るが、銀時は見ていた。

銀時と会話するため山崎が背中を向けたとき、土方の横から手がすっと延びてきて銚子を1本置いたのだ。手の主は当然の沖田。

限界らしい5本目を飲み始めてから土方の様子が変わり、御機嫌な笑みを浮かべ立ち上がった。

ただそれだけなのに、山崎が焦り顔で叫びながら通路を塞ぐように手を広げる。

「きょ、局長〜〜っ、すいませんっ、副長が限界…超え…」

が、土方は直進せず方向を返ると、訳が分からないという顔をしている銀時の前に座り唇を重ねた。

たっぷり10秒ほど時間が止まった後、

「ええええぇぇぇっ!!?」

隊士たちが大合唱したが、当の銀時も同じように叫んでいた。口が塞がっていて声にならなかっただけで。

土方の両肩をつかみ、力付くで引き剥がす。

「おまっ、何す……」

だが伸びてきた土方の腕に頭を掴まれ再び唇を押し付けられた。

酔っぱらいとはいえ男の力である。暴れるうちにバランスを崩し、銀時が背中から後ろに倒れると土方も付いてきて、がっちりホールドされ逃げ道はなくなった。

「……むがっ…ひじっ……ん〜〜〜っ!」

頭ごと顔を反らしてみたがすぐに捕まり、楽しそうに笑う土方の猛攻を受け続ける。

最初こそ驚いたものの、近藤たちは訳知り顔で傍観するのだった。

ちなみに興味津々で見つめる神楽の目は新八が隠した。



身体の上に、スイッチが切れたように倒れ込んだ土方を乗せたまま、銀時はようやく自由になった口を開く。

「説明してもらえませんかね」

「副長は限界超えると、キス魔になるんです」

山崎が言ってた“病気”とはこのことらしいが、普通は誰彼かまわずするものじゃないのか?、と腑に落ちない。

「なんでお前は無事なんだよ」

「それが…その場にいる一番好きな人にロックオンしちゃうみたいで…」

「……はあ?」

「今までは俺がされてたんだけどなぁ。そうか〜、それはそれで寂しい気がするな〜」

娘に彼氏が出来た父親のようにしみじみする近藤の気持ちなど知らず、土方はスヤスヤと寝ていた。




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