原作設定(補完)

□その2
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♯12

作成:2015/04/12 修正:2016/03/27




鳴らない電話、見当たらない姿。

土方は煙草の煙を吐くのと一緒に、大きい溜め息をついた。




「はい、万事屋銀ちゃんです……あ、土方さん。こんにちは……銀さん、ですか…」

新八がチラリと視線を動かすと、隣の和室から“×”を表現する指が見えた。

「えっと、仕事で出てます……はい…じゃあ」

電話を切ってホッと息をつく。知り合いに嘘をつくのは緊張するものだ。

和室を覗きながらグチる新八と、

「別に隠さなくても…」

「前に怪我したときにものごっさ怒られたんだよ」

布団に横たわる銀時。その身体、腕、頭に白い包帯が巻かれている。

怒られるのも無理はない。とても“怪我しちゃったよ〜”なんて言って終わる程度の怪我じゃないからだ。

銀さんが怖いのは怒られることじゃなくて心配をかけることなんだろうな、と新八は思う。

だから仕方なくつきたくない嘘もついてやったが、電話の土方の声も元気が無かったような気がした。




真夜中。

部屋の中の“人の気配”に、銀時は布団の下に隠してあった木刀を握る。

痛み止めを飲んでいるせいで気が付くのが遅れたが、ギリギリまで近づくのを待って喉元に突き付けてやった。

そこでようやく気配の人物と目が合い、

「……なんだ、多串くん………あ…」

ほっと息をついたが、ピンチは回避できていない。身体中の包帯を1つも隠せていないからだ。

「なんだぁ、そのナリは」

「あー、えっと、その……今日の仕事で怪我しちゃってさ。大袈裟に巻いてるだけで、ホント、全然たいしたことないからね、ほら」

笑いながら身体を起こすが、心の中ではすごい気合いを入れていた。耐えろ〜、頑張れ〜、俺〜。

「そうか」

「……多串くんこそどうしたんですか、こんな時間に」

「…野暮だろ」

薄く笑みを浮かべながら銀時の足の上に跨がると、両腕をするりと首に回す。

「最近全然してねーだろーが」

逃げるように身体を引いた銀時を追いかけて二度、三度と軽くキスをしながら、真っ赤になって微妙な顔をしている銀時が可笑しいなと思った。

「……んっ……」

久しぶりに土方の唇と舌を味わいながら、銀時はこれ以上ないほど葛藤していた。

『うわ〜、積極的な多串くんなんて初めてじゃん。ここは頑張るべき?あとで傷口バーンってなっても今はヤルべき!?』

ぐるぐる考えてる銀時に、土方は吹き出して身体を布団の横に戻す。

「嘘だよ。白々しくごまかすんじゃねーよ」

「…多串くん…」

「ゆっくり休んで、さっさと治せ」

どうやら全部お見通しだったらしい土方に、銀時は素直に従って横になりながらチラッと見て言ってみた。

「治ったらさっきの続きしてくんない?」

「…もっとすげーことしてやるよ」

「おまっ……よけい眠れなくなるじゃん」

その後、驚異的な早さで怪我を治した銀時に医者も首を傾げるが、“恋人の色気パワー”のおかげだとは言わないでおいた。




おまけ

「多串くん、約束の……」

『悪ぃ、忙しくてしばらく無理』

「うそつきぃぃぃいいい!!」



おわり



土方がいつになくアダルティ。
普通の銀土ならこのままやっちゃってエローイになるんですが、
………ごめんね、うちじゃ無理(笑)



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