原作設定(補完)

□その1
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♯4

作成:2015/04/09 修正:2015/11/23




良く晴れた爽やかな午後。ちっとも爽やかじゃない顔をして銀時は道に佇んでいた。

背後の賑やかな曲が流れる大人の遊び場で、なけなしの金が銀の玉になって消え去ってしまったからだ。

近くの甘味屋から甘いたい焼きの匂いが漂ってくる。

少ない財布の中身を5倍に増やして、テーブルいっぱいにたい焼きを並べて食いたかった…と恨めしそうに見ていると、たい焼きより大好物の土方が店から出てきた。

ぱっと顔を輝かせて駆け寄ってくる銀時に、土方は露骨にいやそうな顔をするがいつものことなので気にしない。

「珍しいな、お前がこんなとこにいるなんて」

「たま〜〜〜〜に食いたくなるんだよ」

「旨いもんな、銀さんなんか毎日でも食えるよ。最近は食ってないけど、旨いもんなっ」

わざとらしくニコニコする銀時に、土方は仕方ないなという顔をして聞くが、

「食うか?」

「いいのっ」

ねだっておいて“いいの”もなにもないものだ、と溜め息を付いた。



公園に移動し、土方がベンチに座って袋の中身を並べていく。

うきうきわくわくした銀時の表情は、どんどん曇っていった。

「たい焼き土方スペシャル、今川焼き土方スペシャル、人形焼き土方スペシャル」

「………なんで土方スペシャルって付くの?」

「土方スペシャルだからだ」

ふわんと漂うマヨ臭。中身は間違いなく例の黄色い奴だ。

「………土方スペシャルじゃないのはないの?」

「土方スペシャルじゃないのはないな」

がっくりと肩を落とす銀時。

「やっぱいい。土方くん、全部食べなよ」

「あ、そ」

幸せそうにたい焼き土方スペシャルを食べ始める。

『その幸せの中に、俺と一緒だってのも入ってるかな…入ってるといいな』

甘いものが食べられなかったことと、甘いものが汚されてしまったことにガッカリはしたが、こんな土方を見ることができたのは嬉しい銀時だった。



数日後。

パチンコで有り金を摩ったことがバレ、銀時は甘味を禁止されてとぼとぼ歩いていた。

たい焼きの甘い匂いにヨダレを垂らしていると、店から出てきた土方とまた遭遇。

土方に会えたのはすごく嬉しいが、抱えてる袋の中身が土方スペシャルかと思うとヨダレは止まった。

「食うか?」

「いや〜〜…」

やんわり断ろうとしたとき、あんこの匂いがした。

先日はそんな甘い匂いはしなかったし、チラリと見ると土方がほんの少しだけモジモジしているような気がする。

もしかして……。

「……土方くん、その中に土方スペシャルじゃないの、ある?」

「……間違って買ったんだ。屯所に帰って誰かに…」

「それっ…俺が食ってもいい?」

「……別にいいけど」

俺と一緒に食べるために買ってくれたんだろうなぁと思うと、やっぱり嬉しくなる銀時だった。




おまけ

たい焼きを食べた銀時がバタリと倒れる。

「あ、間違えた。そっち土方スペシャルだった」



おわり



土方スペシャルの三つ目が思い付かなくて…
最初は最中(もなか)だったんだけど、
最中にマヨ入れたら皮ふにゃふにゃになるな、と(笑)
作成中に、人形焼き!と思い付きました。
おまけは“お約束”。



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