その他(補完)

□妖怪設定ー♯2
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#2

作成:2019/03/30




烏天狗の十四郎は、フラフラと上空を飛んでいた。

一週間ほどほとんど寝てないので疲労困憊だったのだ。

妖怪たちの界隈で警察のような役割を担っている烏天狗は一昔前まで人気職だったのだが、最近はもっぱらの人手不足。

辛い、厳しい、休みが不規則、残業が多い。

現代の人間界の若者のような不満を漏らして辞めていく者が多いため、副長である十四郎自ら激務をこなす羽目になっている。

だが、忙しいのは苦にならないからそれは良い。

局長の近藤を慕っていて、近藤が頑張っているからそれを応援するのは副長として当然だ。

だからもっともっと頑張りたいのだが、さすがに体がついてこなかった。

用事で遠くまで行った帰り、

「……さすがにそろそろ限界だな………帰ったら休もう……」

そう思うことで気合を入れたつもりだったのだが、"そろそろ"と思っていた限界は"すぐ"来た。

飛ぶ力もなくなり羽ばたいていた翼が止まる。

翼が止まれば、飛んでいた烏は当然落ちる。

落ちているのは分かっていたが、意識が朦朧としていて「ヤバイ」とか「マズイ」とか思うこともできなかった。

妖怪とはいえ、なんの力も使わず上空から落下して地面に叩きつけられれば無事ではすまない。

下方には森が広がっていたが上手く木の枝にひっかかって止まることもなく、十四郎の体は無残に地面へ……突っ込むはずが、もふんとした柔らかいモノに包まれた。

あんなに高いところから落ちたのに傷みもないぐらい、ふわんとしてもふもふっとしたモノ。

『……何だ?……』

朦朧とした意識の中でも、何かの毛だというのは分かった。

柔らかくて暖かくて、それになんだか甘い良い匂いがする。

本来なら甘い物は苦手な十四郎だったが、今は疲れているせいか甘い匂いに包まれているのが落ち着く。

もし生きている動物の上に落ちたのなら、起きて相手が無事かを確かめなくてはならない。

なのに十四郎の体は意思と反して深い眠りについてしまった。



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