追加妄想

□原作設定ー#533
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#533

作成:2020/03/16




真夜中の万事屋で土方はある一点を見つめて身動きできずにいた。

久しぶりの非番で、久しぶりに銀時と居酒屋で飲んで、久しぶりにイチャイチャしようと万事屋に来て数十分。

先に風呂を借り終え、入れ替わりに銀時が入っている間のことだ。

居間のタンスの引き出しの一つに、可愛い包装がされた小さな包みが入っている。

ソレだけなら動揺するほどのことじゃない。

が、箱には"ホワイトデー"用であるシールが貼られていて、はしたないことだが何気無くめくったカードには"チョコありがとう。大好き(ハート)"と印刷されていた。

物が者だけに銀時が"誰かから貰った"という感じの代物ではなく、となれば銀時が"誰かに渡す"ためもの。

そして自分が銀時にチョコを上げてない、という事実が土方を動揺させている。

だったら誰宛の物なのか。

これから一緒の布団に入って同衾しようとしている相手の思わぬ秘密に、土方はようやく体を動かせるようになって眉間にシワを寄せた。
そう"秘密"なのだ。

銀時の私物が入っているタンスなのだから、それを勝手に暴いた自分が悪い。

自己嫌悪と、銀時にそんな秘密があるなんて想像だにしないくらい一緒にいるのが楽しいことが、土方の眉間のシワを深くする。

気に入らない、と思っているのに、銀時が風呂から出て来る気配がしたとき土方はタンスを静かに閉めていた。

布団までとことこ歩いて行ってぺたんと座る。

ずっとここにこうしていました、という素振りだ。

風呂上りでほかほかの湯気を立てた銀時は、そんな土方を見てふっと笑う。

逢瀬を邪魔する携帯電話の着信音が鳴らない限り、銀時はいつでも2人でいるとき嬉しそうだった。

だから微塵も疑ったことがなかったのに。

上機嫌の銀時が正面に座り、自分に手を伸ばしてくるのを見て目を閉じる。

触れる手が熱いのは風呂上りだからか、テンションが上がっているからか。

"秘密"を知ってしまった動揺を抑えて、土方は銀時の愛撫を甘受する。

…………のは、5分が限界だった。

「だぁぁぁぁぁぁ!!! やっぱり無理だぁぁぁぁ!!!」

「うわっ!? な、何!?」

もう我慢できんと叫ぶ土方に、銀時は目を丸くして驚いていた。

その呑気な顔を睨みつける。


つづく..
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